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105 ササラ姉さんにほれぼれしました

ササラさんはリアル宝塚になっていた。


女性らしさを上手いこと抑え、クールな印象を与えるジャストフィットのえんじ色の軍服。分け目なく無造作にカールした輝く金髪は肩に付くかつかないかの長さ。ハンサムな挙句温かい微笑み。惚れてまうやろー!!!


んん?っと思って上着の袖口を見たら綺麗な筆記体でMの刺繍。

マーカス商会の特注品でしたー!夫人、いい仕事した!


でもシュナイダーに大多数が下った国軍の軍服。よくわからん。ごめん、ササラさん。

鑑定!


青く光る。


ササラ ( 聖女、エルザの忠臣、ジュドール王国軍少尉、 セレアル会参与 )

状態 : 良好、激怒

スキル : 破邪、回復魔法、慈悲、片手剣、複数毒耐性


「『『聖女……』』」


ほんなもん発見……

ルー、ミユと共に目が点になる。


「セレフィー、私は今、軍の情報本部に所属してる。でも骨の髄までトランドル派でエルザ様子飼いの密偵よ!」


ササラさん、キレーに言い切りましたー!

つまり軍籍もスパイ活動のため。軍でも所属はスパイ部門。やむを得ない、もう不◯子ちゃん役はササラさんに譲るよ。


『聖女ちゃん、エリスちゃんと同じくらい心もかわいいからよし!』

『聖女……まあ本人気づいてないのだから、それでいいんじゃね?回復はエリスと同様、折を見て魔力引っ張り出して伸ばしてやったらどうだ?』

「そだねー」

気づいてないほうがササラさんらしくのびのび聖女するよね!?エリス姉さんと双子みたいなもんだし、二人セットで聖女ってことで!?

にしても、聖女がスパイ……ありなのか?


「ねえ破邪って何?」

『邪なものを寄せ付けぬ。我らと似たような力だな』


清らかなササラさん、納得だ。



こっそりササラさんの指輪に雷撃を重ねがけしておく。使われた兆候はない。よかった。

で、セレアル会?何?教会の分派?イエズス会みたいな感じ?ザビエル?





「ササラさん!おばあさまをこれまで支えてくれてありがとうございます。それで、おばあさまの直属の皆様のご意向は?」


「エルザ様はあらゆる事態を想定されてた。私達はエルザ様の作られた緊急事態の際のマニュアル通り動くだけ。

エルザ様と意思の疎通が出来なくなった場合は①セレフィオーネ②ラルーザ様③ギルド長の順で指示を仰ぐと決まってる。もちろん誰も異議などない。私が責任もって、うちの隊長とセレフィー……領主様との連絡を調整します」


ササラさんなら……ますます頼もしい。


「ありがとう。では早速。トランドルの領土全域、誰も踏み入れさせないように警備を固めて。特におばあさまをガッツリガード。そして守備にグランゼウスからの応援が入り次第、ギルドと合流して、小さな集団からドンドン潰してもらいます。些細な報告でも速やかに。それと兵の細かな戦力と配置。おばあさまから伺ってたけど、時間が開いたので表があれば一応写しをください」



「了解。で、決戦は?」

「長引かせるつもりはない。シュナイダーを炙り出したら、すぐ私が出る。領主だからね。あちらは段違いに強いから、その時は皆は待機。間違っても一矢報いようとか思わないように。体力の温存と物資の補給してください」


私はジークじいとササラさん両方を見つめる。

「今こそトランドルの団結を見せつけるとき!みんなよろしくお願いします!」


「「はっ!」」




◇◇◇




歴代のトランドル領主が眠る丘の上の墓に花を手向ける。


ご先祖さま、トランドルの地を、おばあさまを守るために力を貸してください!



私が両膝をついて手を合わせひとしきり祈ると、共に付いてきたジークじいが私に尋ねた。


「……姫は西の四天様の契約者であらせられるのか?」


肩の上のルーの瞳に了承のサインが浮かぶ。私は小さく頷く。

「おばあさまはね、私が契約者であることを知って、ご自分の生き方を変えてくださったの」


私に関わったばかりに……前世ではきっと平和に穏やかに生きていただろうに……

唇を噛む。血の味がする。


「ふふ、ふあーっはははは!!!」


「ぎ、ギルド長?」


「ガインツの恨み節が聞こえますぞ!早死にするんじゃなかった!エルザもジークも羨ましい!ワシももうひと暴れしたい!とな!」


「おじいさま、そういうキャラなの?」

「すぐ先走るバカじゃったな」

「あらー、おばあさま、よく結婚したね」


「人生、思いもかけぬ展開になるものじゃ。だから、面白い。エルザもすぐ戻る。暴れる機会を見逃す女じゃない」

ジークじいがニヤリと笑った。


全く……敵わない!

私はジークじいと肩を組んだ。


「お手並み拝見!ジーク……おじいちゃん!」


「姫……おう、任せな!」





◇◇◇




トランドルの兵も冒険者も基本自分よりも弱い敵に全く興味がない。なので武器を差し出し降伏するものは二度と歯向かうなとだけ言って放置。自分よりも強い敵を探し求め走り去る。


軍施設に乗り込むとますます皆トランドルの怖さを身に染みているために、……俺たちはガードナー殿下と戦うためにシュナイダー殿下に組していただけであって、トランドルの敵に回るつもりなどさらさらないと……逃げる。あまりの寄せ集め感に……シュナイダーにちょっぴり同情する。


王妃様から面会要請があったらしい。戦争中に悠長なこと言うな!っていうようなことを上品に家令オークスに書いてもらって突っぱねた。そもそも王族が穏やかな仲良し兄弟に育てなかったから、あの復讐鬼が誕生したわけで、ますますイライラする。


ダメダメ冷静に慎重に、おばあさまの教えを守らねば。




マットの率いる隊にシュナイダーの宮殿に突入してもらわなければならない。うちの領主邸を焼かれた。そこまでやってやっとスタートライン。



不測の事態を考えて、ギルドであれこれと経路や手段を検討しているとコンコンとノックされ、ララさんが顔を強張らせて入ってきた。


「セ……領主様、国王陛下からの召喚状です…………」








300,000字突破〜!わっしょい!

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