101 100話突破記念!ーpart3
ワイワイ、ガヤガヤ……
「皆様、静粛に!静粛に!興奮するのはわかりますが、これではいつまでも始められません!ふう……では第100回、セレフィオーネ様をぜえったい救出し、騎士学校に取り戻す会、を、ここに開催いたします!」
パチパチパチパチ!
ピー!ピー!
「司会はいつもどおり私4年1組エベレストです。よろしくお願いします。今回は緊急招集のため、点呼は行いませんが、卒業生も多数おいで頂いている様子。ササラ先輩、今回もご出席ありがとうございます!」
「私への挨拶などいらない!早く、始めて!」
「はっ!では早速議題に移ります。皆様!セシルがセレフィオーネ様にお会いして、先程戻りました!セシル、前へ!ひとまずセレフィオーネ様のご様子をお話ししてください。そしてその後質疑応答ということで」
「みんな、まず、これからの話は他言無用だ。それを宣誓できるやつだけ残ってくれ」
「宣誓する!」
「俺もだセシル!」
「「「「「宣誓!!!」」」」」
「良かった。みんなありがとう!俺は、ガードナー王子殿下の供として、ガレに入国し、皇帝陛下の謁見に付き従った。皇帝陛下の隣に……セレフィオーネ様が座っておられた」
「セレフィー!!!」
「アルマ……しっかり!」
「「「アルマたん!!!」」」
「アルマ、セレフィオーネ様から手紙、預かってるから、ね?セレフィオーネ様は思いのほか元気そうで、少し背が伸びて、簡素な服装でいらしたが、ますます……お美しかった。少し痩せられ顔立ちはシャープになり、目は知性の黒!」
「おおお!」
「生きて……いらした……」
「うわああん!!!」
「目の色変わったら変だろ?」
「私はあの日消えたセレフィオーネ様とこの目の前でピンと背筋を伸ばした女王のようなお方が同一人物であるか、一瞬悩んだ。すると、それを察知したセレフィオーネ様が華麗なる裏まわし蹴りを私のこの頰に……叩き込んでくださり……ご本人だ!と確信した!」
「裏まわしぃ?」
「そりゃ間違いなくセレフィオーネ様だ!」
「いやいやセシル、おまえ何仕出かしたんだよ!」
「…………いいなあ」
「話を端折れば、ガードナー第二王子殿下は憎っくきシュナイダーの野郎と戦争になったときにガレとセレフィオーネ様の助力をしてほしいと申し出た。殿下はシュナイダーと敵対するもの同士、受け入れられると信じていたようだった。だが、我らのセレフィオーネ様は断った!」
「「「「「おおーっ!!!」」」」」
「セレフィオーネ様は……私怨では動かない。聞けば、シュナイダーから死ぬほどの怪我を負わされたというのに」
ドンッ!バサバサバサッ…………
「クソッ!」
「ニック……気持ちはわかりますが、物にあたってはいけません。セシル、続けて」
「……セレフィオーネ様は私情を押し殺し、王族が二つに割れる戦いを静観される。王族は周りを巻き込まず、内輪で決着をつけるべきだというお考え。民を大事にすべきだと。その考え、国民ファースト!」
「「「国民ファースト!!!」」」
「おそらく、セレフィオーネ様は王族の火の粉が民に降りかかったときに……立ち上がるのだと思う。あの方はいつも自分の力は極力見せられず影からそっと手を差し出す……力なきものの味方。ガレではササラ様を見習い、孤児院の運営に力を注いでおられました。それも裏方として」
「セレフィ……」
「おい……ちょっといいか?」
「はい、コダック先生、どうぞ」
「今、伝達が来た。トランドルはいずれ始まるだろうこの内戦、不干渉だ。逆にコナかけてきたら完膚なきまで叩き潰す。トランドルギルドに名を連ねるやつら、わかったな」
「「「「「はいっ!」」」」」
「ササラ、お前は情報本部勤務続投。あ、セシル、おまえは好きなように動いていいそうだ。ジークギルド長は友情が嫌いじゃない」
「了解です」
「…………ありがとうございます」
天空からヒラヒラと青い龍が舞いおりる。
「「「「「聖女の蒼龍!」」」」」
「ササラ先輩!なんと!?」
「…………エリスも仮定の話としてだけどジュドールの内戦、神殿不干渉を発布したわ。少しでも、ジュドール王族に関わりなき民や他国、そして神殿が密かに聖者と定めたセレフィーに害が及べば……破門だそうよ」
「長女キター!」
「聖女かっけー!」
「最新の宗教画見た?『聖者への謁見』あれ四女に跪く長女だよなあ」
「セレフィオーネ様の肩の蛇の精霊がやけにリアルだった。写実のような幻想のような……」
「俺も2000ゴールド寄進してゲットした!絵師のサイン 、sukeってなってたな。新しい洗礼名かな。聖者セレフィオーネ様の服装がくたびれた男物で……泣いた」
「ど、どんだけ苦労してるのっ!ウワーン!」
「あのっ、いいですか?」
「はい、騎士学校の中というのに何故か学校一のお金持ち集団、芸術研究会マードック会長、どうぞ」
「今回、少しでもセレフィオーネ様がお立ちになるときに軍資金になればと思いまして、急遽騎士団四姉妹のブロマイド2枚組を作成しました。作画はもちろんネルソン画伯。無償で引き受けてくださいました。1枚目は四姉妹のドレス姿、エリス先輩とササラ先輩の卒パの四人が成長したイメージです。そして2枚目は四姉妹全員の騎士姿。こちらは……詳細は発売までのお楽しみということで。フルカラーです!売り上げは全額グランゼウス伯爵を通してセレフィオーネ様のお役に立てるよう責任を持ってお届けいたします。」
「ブオーッ!」
「おいぃー!三年がまた鼻血吹いたー!ティッシュー!」
「こっちもー!」
「ば、ばか!何言ってんの!恥ずかしい!絶対イヤよ!ね、アルマ!」
「ササラ様、アルマ、申し訳ありません。既に印刷に回しておりまして……セレフィオーネ様のためと思って堪えてくれませんでしょうか……実は後見のトランドル領主様には了承を頂いております」
「ひっ!エルザ様!?」
「マードック……いつからエルザ様を押さえてるんだ……もはや凄腕商人……」
「アルマ……」
「ササラさん……」
「おい……ちょっといいか?」
「はい、コダック先生、どうぞ」
「ササラ、アルマ、今更だ、諦めろ。既に同人じゃなく書店に並んでるんだ。で、マードック、今回はいくらだ?」
「今回は……10000ゴールド。限定200セット。私達は一銭も受け取りません。紙と印刷代等諸経費以外は全てセレフィオーネ様へとトランドル領主様に誓っております」
「大きくでたな……買った!10部!」
「わ、私が200部全部買うわ!貯金下ろす!これ以上出回らせないからー!」
「ササラ!お前は購入禁止、金は孤児院に使え!」
「わーん、シルクー!」
「姉さん!」
「くっ、ササラ様、すいません!俺2部!」
「俺も!」
「すいません!田舎の家族が……3部!」
「公爵夫人に頼まれてます。申し訳ありません!6部!」
「姉さん、シスター達が……2部です。ゴメンなさい!」
「…………!!!」
「…………」
「……!……!」
「……」
「…?」
「……」
◇◇◇
『ほんにセレは面白い人間共を引き寄せる……愉快』
かつて、愛してやまない主人達の踊った講堂の屋上を懐かしそうに眺め、虹色の翼は南に向けて飛び去った。
セレとルーの物語、101話に到達致しました。
これも読んでくださり、応援してくださる皆様全てのおかげです。
当初、100話で納めるつもりだったセレの旅ももうしばらく続きます。
のんびり更新ですがお付き合いいただけると嬉しいです。
今後ともよろしくお願いします m(_ _)m




