15 やる気=活力
「よぉし! みんな聞けぃ!」
勢いよく立ち上がり、キキーモラさんをはじめとするモンスター達に向き直り、大きく両手を広げる。
「俺の言っていた通りに敵は襲ってきた! だが俺達の力を持ってその進撃を薙ぎ払ってみせた!
この村を見ろ! 誰一人として犠牲になっていない!」
力強く拳を握り、盛大に掲げる
「俺達は守ったのだ! 成し遂げたのだ!」
仲間モンスターの性格が単純なヤツラが喜色を持って反応し始める。ボナコンや岩人達は特に「おうっ!」などと威勢のいい声を返してくれている。
反してキキーモラさんはいつも通りじっと俺を見ているし、ツムリンもいつもの苦笑いだ。
スケルトン達は「そっすね」ぐらいに思ってそうな雰囲気。
俺は掲げた拳をゆっくりと胸元までおろし、下を向いて首を振る。
「だが、悲しいかなまだまだ敵の侵攻は続く……
次の村は敵がもっと近づいている状況になっているだろう……なにせ俺が知っている限りでは壊滅の恐れすらあるほどだから……」
カっと目を見開き、まるで不安を薙ぎ払うように右手を横に振るう。
「だが、まだ間に合う!
行くぞ! 皆! 疲れているだろうが行って村を! 仲間であるゴブリン達を守るんだ!
俺達ならできる! イエス! ウィーキャーンっ!」
ボナコンや岩人達を筆頭に「うおぉお!」と盛り上がりを見せる。
「では指示を出す! ゴブ吉は次の村までの道が分かるゴブリンをこの村から探して協力を取り付けろ! 早く行け! こうしている間にも襲われている可能性もあるんだからな!」
「わかったよ。」
ゴブ吉も俺の言っている事が本当なのだろうと判断したのか素直にこの村の長の下へと駆けだす。
「ボナコンは、ゴブ吉が案内役を連れてきたら、部隊を引き連れて次の村まで先乗りだ!
そして万が一敵が居たら……分かってるな!」
「はっはっは! 全部片付けてしまっても構わんのだろう? はっはっは!」
「よし! 負けフラグは十分だ! だが残念! 負ける要素が無い! 構わんぞ!
でも何となく不安だから、ツムリンも部隊を率いてボナコンの監視と管理を頼む!!」
「はい! 分かりました!」
元気よく両手をぐっと握って答えるツムリン。うん。顔と胸は可愛い。
ツムリンに任せておけばボナコンの負けフラグも安心だろう。
キキーモラさんに目を向ける。
相変わらずじっと見られると迫力がある顔だ。
俺はさっきまでのテンションをガラリと変えて、落ち着いた声を出す。
「キキーモラさんには、さらにその先の事を頼みたい。一番重要かもしれないことなんだ。
次の村に辿り付いたら、すぐにその村で『祠』までの道を村のゴブリン達から確認して欲しい。
そして確認出来次第『祠』に向かい、そこに居るゴブ吉の両親を敵から守って欲しい。放っておくと敵にやられて大怪我を負うはずだから。
あと、もしかすると敵は数だけやたらとやってくるかもしれないから頑張って対抗して欲しい。」
「分かりました。」
「俺達もすぐ追いつくように移動する。だけど万が一危ないと感じた場合は、ゴブ吉の両親を確保して次の村まで引き上げてくれ。」
コクリと頷くキキーモラさん。
そしてタイミングよくガイドを連れて戻ってくるゴブ吉。
「連れてきたぞ。」
俺はゴブ吉にコクリと頷く。
そして大きく息を吸う。
「ようしっ! 準備は整った!
ゴブリンの村を救う為に、いざっ! 行動開始だ!」
ゴブリン達の生活を守るという正義感に目覚めた俺の言葉で、皆が一斉に動き出す。
ボナコンの背にゴブ吉が連れてきたガイドが乗るとボナコンは勢いよく走りだした。
「ボナコン! 皆を置いていくな!」
「はっはっはっは! そうだった!」
慌てて声をかけた俺に急ブレーキで応えるボナコン。
ボナコンの部隊は若干急ぎ足ながらもまとまって行動を開始。その後ろをツムリンとキキーモラさんが部隊を引き連れて後に続いた。
さぁ、ストーリーよ。ガンガン進めてやろうじゃないか。
エロフフフフ。