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第96話  カナーサ王国  二


「うーん。正直な話、私じゃ力不足で、あいつとはまともに戦えないニャ。悪いけど、あいつは昇さんに任せてもいいかニャ?」


「わかりました。無理はしない方がいいでしょう。トウキャさんは、ダイさんやネコビト兵を助けてあげてください」

「ありがとうニャ! 任せてほしいニャ!」


 まさに猫のような自由な判断だが、この場合はトウキャさんの柔軟な判断は最善かもしれないな。


「なんだ? 仲間に見捨てられたのか? 案外人間も非情な生き物よな。いや、元々人間の方が非情だったか。クククッ」


「いや、お互いを信頼して、被害が最小限になる選択をしただけだ。つまり、お前の相手は俺たちだけで十分ということだ」


「フン。人間風情が調子に乗るなよ! その減らず口、すぐにきけないようにしてくれるわ!」


 奴が突進してきた。シースが強化歌で俺たちを支援し、俺たちはそれぞれ遠距離攻撃を奴にめがけ放った。


 奴は素早い動きと手甲で遠距離攻撃に対処し、俺との距離を詰め、殴ろうとしてきた。


時間制限付き岩石封じロック・ロック・クロック!」


 土魔法の一種である岩石魔法、時間制限付き岩石封じロック・ロック・クロックで奴を捕らえた。


 この魔法は、ダイさんに教えてもらったもので、敵の身体の周りに岩石を発生させ、体を覆い、その岩石によって敵の動きを封じることが出来る。


 事前に効果時間を設定して、その時間が短いほど、より強力に敵の動きを封じる。今回は3秒の設定だが、それなりの拘束力はあるはずだ。俺のもとの世界でいえば、重量挙げの世界チャンピオンでも、微動だに出来なくなるほどの重さだ。


 俺が、まともに動けないであろう奴に切りかかろうとした瞬間、奴は予想外の速さで反撃してきた。身体を覆っている岩石の重さをまるで感じさせない、奴の素早い動きに俺は驚き、防戦一方になってしまう。


 その時、みんなの遠距離攻撃が飛んできた。奴がそれを防いでる間に、なんとか俺は距離を取って、態勢を立て直した。


 俺が奴のでかたをうかがっていると、奴は近くの岩を砕いて、複数の砕いた岩を俺の頭上に投げた。


 こんなものに当たるわけがないだろうと思って岩を見ていると、放物線を描いた岩が、落下を始めた瞬間、尋常じゃないスピードで落ちてきた。


 あまりの速度に驚きつつも、なんとか岩をかわしたのだが、その隙に奴は俺との距離を詰めていて、攻撃を仕掛けてきた。


 俺は剣で応戦するものの、奴に左の手甲で受けられてしまい、奴の右のパンチを盾で防ぐのがやっとだった。


 俺が盾にこもるように身を守っていると、奴のパンチが盾に当たれば当たるほど、盾がどんどん重くなっていることに気が付いた。


 ついには、あまりの重さに盾を落としてしまい、無防備になってしまった。


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