第95話 カナーサ王国
イヴァークさんの力投で、十分な高度を確保できた俺とムサシは、ハングライダーのような発明品を使って、カナーサ王国に向けて滑空を開始した。
地図を確認しながら滑空していった俺たちは、無事にカナーサ王国に到着した。
滑空しながらダイさんと数回連絡を取り合っていたこともあって、ダイさんが迎えに来てくれた。事前に話を通してくれていたらしく、入国手続きなどはスムーズに完了した。
「救援に来ていただいて、ありがとうニャ。私はネコビトの女王を務めるトウキャだニャ。ダイさんから君のことは聞いているニャ。私も戦うから、力をかしてほしいニャ」
基本的には人間と同じだが、猫耳と猫っぽい顔立ちがかわいらしい、ネコビトの女王トウキャさんとあいさつを交わした。
敵軍が到着するまでにあまり時間が残されていないらしい。俺たちは、軽く作戦を話し合って、ダイさんが土魔法で補強してくれた土壁の外に出て、それぞれ配置に着いた。
先ほどの話し合いで、敵の一般兵は、ダイさんとムサシとネコビト兵が相手をして、敵のボスは、俺たちとトウキャさんが倒す、ということでまとまった。
状況によっては、トウキャさんにも、敵の一般兵の相手をしてもらう可能性もあるようだ。
俺たちが待ち構えていると、敵軍が目視できる位置までやってきた。
遠くから見ただけでもわかるくらい、明らかに他の魔物より強い魔物が一体いるな。奴が敵軍のボスだろう。
ネコビトに似ているが、尻尾が二本あるな。奴のことは仮に、ネコマタ魔人とでも呼ぶことにするか。
ネコマタ魔人は、軽装の鎧に身を包み、武器や盾を持っていないことから察するに、体術を主とした戦闘スタイルと推測できる。
俺は早速、エルフィー、ヨイチ、シース、エルシドを召喚して、愛の力、信じる力信じられる力を発動させて、身体能力や魔力などの各能力を強化した。
そして、愛されて強くなる者の効果によって、既にキスをしたことがあるヨイチとエルフィーが近くにいる今、俺の能力は飛躍的に上昇している。
さらに、愛と力を与える者の効果で、ヨイチとエルフィーの能力も格段に高まっている。
信じる力信じられる力は、ヨイチとのデート中に発現したスキルで、一定の距離内にいる仲間が、俺を信頼してくれる度合いが大きいほど、俺の身体能力や魔力を強化するスキルだ。
愛し合う者同士の融合を使うのは、エルフィーとヨイチ、どちらと融合するのが、ネコマタ魔人と戦ううえで相性がいいかを見極めるまでは待つことにしよう。
ダイさん率いるネコビト兵と、敵の一般兵の戦いが始まり、俺たちは、ネコマタ魔人と相対した。




