第92話 ヨイチとのデート 十六
フーシェが調理した、とてつもなく美味しい料理を堪能した俺たちは、笑顔を生み出す飴玉と奇抜で美味いクッキーと正統派の超一流チョコを購入し、料金を払って、ローラリン城の俺の部屋に帰ってきた。
支払いの時に、フーシェが、とても珍しくて貴重な食材、傷つきやすいオリーブについて話してくれた。
俺たちがいろんな場所にいっている話を聞いて、ついででいいから、生育地などの情報を耳にした場合は、ぜひしらせてほしいとのことだ。
傷つきやすいオリーブは、普通のオリーブよりも傷つきやすく、また、普通の料理人が調理しても、普通のオリーブよりおいしくないらしいが、一流の料理人が上手く傷つきやすいオリーブの真価を引き出した場合、普通のオリーブとは比べ物にならないほどの美味しさを発揮するらしい。
フーシェなら傷つきやすいオリーブを上手く使いこなしてくれるだろう。
俺も食べてみたいし、今度違う場所に行った時、余裕があったら傷つきやすいオリーブの情報を集めてみるか。
俺とヨイチは、お茶を飲みながら、今日のデートのことを話して、盛り上がっていた。
おっと、そろそろ寝る時間だな。俺たちは一緒にベッドに入った。
明かりを消して、ヨイチと見つめあう。頬を赤らめたヨイチが、目をつぶった。
俺はヨイチを優しく抱きしめ、唇を合わせて舌を入れ、お互いの愛を確かめ合うように、優しく、時に激しく舌を絡めあった。
俺たちは何時間もディープキスを続けた。そのうち、気持ちよさの中で、俺は眠りに落ちた。
結局、この日はそれ以上のことはしていないが、俺はヨイチと心が通じ合っていると確信ができて、とても幸せだった。
これは俺の推測だが、ヨイチも幸せを感じてくれていたと思う。
翌朝、俺がヨイチよりも先に目覚め、ヨイチのかわいい寝顔を眺めていると、ヨイチも目を覚ました。
朝の準備を済ませ、ヨイチと楽しく朝食を食べ終えて、俺は早速稽古に励んだ。
ヨイチやみんなのためにも、俺は、武力だけではなく、知性やカリスマ性などにおいても、ローラリン皇帝を超える男になりたい。
一刻も早く強くなりたい俺は、シースとエルシドに、少しデートを待ってもらうように話した。二人は、納得してくれたが、寂しそうな二人の顔を見てしまうと、やっぱりちょっと心が痛かった。だが、それでも俺は、今は鍛錬に時間を使いたいという気持ちが強いのだ。
明確な目標を持った俺は、一心不乱に稽古場で剣を振り続けた。
「せいが出るな。だが、一人では効率が悪いだろう。私と一緒に稽古しないか?」
「ダイ・チュウ少将! ……ありがとうございます。よろしくお願いします」
「いや、私にとっても、君のような稽古相手がいてくれると助かるから、君のためというわけじゃない。別に感謝する必要はないよ」
ダイ・チュウ少将は、愛の力を発動させていない状態の俺より少し強いから、稽古相手にちょうどいい。愛の力や他のスキルを使ってしまうと、俺の方がはるかに強くなってしまうから、それでは稽古にならない。




