第83話 ヨイチとのデート 七
ヨイチと相談した結果、昼食はすいているところで軽く済ませることにした。夜のレストランで、よりおいしく食べたいということも影響した。
俺たちは、比較的すいている喫茶店で、昼飯を食べた。味はそこそこだったが、ヨイチと食べさせあったり、おしゃべりをしたりして、楽しい時間を過ごした。
その後は、軽めのアトラクションにいくつか乗った。俺は、どんな乗り物でも、ヨイチの楽しそうにしている顔を眺めているだけで、最高に楽しめた。
そうして、遊園地デートを満喫して、次はどれに乗ろうかと、ヨイチと腕を組みながら歩いていると、ホラーハウスが目に入った。
「ホラーハウスに入ってみるかい?」
「ううん、昇君が一緒なら、怖いものなんて何もないもん。ホラーハウスに入ったって、意味がないでしょ?」
「確かに。俺も、ヨイチが一緒ならなにも怖くない。仮にローラリン皇帝と戦ったとしても、負ける気がしないよ」
なんて、さすがに大げさだったかな?
「うん、僕もそう思うよ。昇君は、将来、皇帝をも超える大偉人になる男だ。ってね!」
「おいおい、さっきのはあくまで例えだって。俺のことを持ち上げすぎだよ」
「昇君が自分のことを信じられなくても、僕は信じてるもん! 何回でも言うよ。昇君は、将来、皇帝をも超える偉大な人間になる! 絶対にね!」
俺が半ば冗談で言ったことを、ヨイチは本気で肯定してくれた。俺以上に、俺のことを信じてくれる人がいたなんてな。こんな子は初めてだな。まずいな。感動して、涙がこぼれそうになってしまう。
「わっ、昇君、急にどうしたの?」
俺は、泣き顔を見られないように、ヨイチを強く抱きしめた。これで、ヨイチの視界は俺の胸しかうつさないはずだ。
俺が泣いているのは、おそらくヨイチも気づいているはずだ。だが、俺の男としてのプライドを傷つけないために、あえて口にはしないでくれているのだろう。
まずい、そんな気遣いをされてしまったら、ますます泣けてきてしまう。
ヨイチ、ありがとう。俺は、必ず皇帝をも超える、偉大な人間になってみせるよ。そう叫びたいが、今は間違いなく声が震えてしまう。
俺は、結局口には出せなかったが、その分、心の中で強く誓った。いつの日か、誰よりも強くなって、強大な力を持つ魔帝からも、ヨイチやみんなを守れる男になってやる、と。
この世界に来てから、いや、今までの俺の人生を通して、俺はこれといった目標や夢を持つことが出来ずにいた。そうして、ただなんとなく流されて生きてきた。
だけど、今は違う。ヨイチ、君のおかげで、皇帝を超えるという明確な目標ができたんだ。君は気づいてないだろうけど、君は今、俺に生きがいを与えてくれたんだよ。
自分一人のためだけにできる努力なんてたかが知れている。
だが、人のための努力。特に、愛する人のための努力となると話は別だ。俺は君が喜ぶ顔を想像するだけで、いくらでも努力することが出来るんだ。君がそばにいてくれさえすれば、俺は誰よりも、どこまでも強くなれるよ。
俺はそんなことを考えながら、何分ヨイチを強く抱きしめていたかわからない。そうしているうちにやっと涙はおさまった。こっそりと涙をぬぐって、俺はヨイチをはなした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
皆様のおかげで、ブックマーク登録が100件を超えました。ありがとうございます。とても嬉しいです。
感想をお気軽に書いていただきたいので、私なりにテンプレートを作ってみました。
それぞれ、0点から100点で評価していただきたいです。
自分が何を得意として、武器にできるのか、皆様の客観的な視点を通して知りたいのです。
ご協力、よろしくお願いします。
以下をコピーアンドペーストしてお使いください。
戦闘描写 50点
恋愛描写 50点
お色気描写 50点
日常描写 50点
テイヌシュ(テニス)描写 50点
グルメ描写 50点
その他の描写 50点
今後もよろしくお願いいたします。