第75話
まあ、今は考えてもしょうがないか。俺は、イヴァークさんやイールと別れて、自分の部屋に戻ってきた。なぜかムサシも俺についてきて同時に部屋にはいってきた。
「どうしたんだい? ムサシ?」
「昇殿とお話がしたいのだが、ご都合は良いでござるか?」
「ああ、かまわないよ」
「ありがたいでござる。先ほど、昇殿がこの国にしばらく滞在すると聞いて、拙者も、もう少しこの国に留まろうと思うのでござる。昇殿さえよければ、時々でもいいので、剣の稽古などに付き合ってほしいのでござる」
ムサシは少し不安げな表情をしているが、俺としては特に断る理由もない。
「ああ、もちろん、かまわないよ。ムサシの剣の技術は凄いし、俺からお願いしたいくらいだ。これから、よろしく頼むよ」
俺の返事を聞いて、ムサシの表情が途端に明るくなった。
「ありがたいでござる。それでは、これからもよろしくお願いするでござる」
明るい笑顔でそう言うと、ムサシは嬉しそうに俺の部屋を後にした。
久しぶりに一人で考え事でもしようかと、上等な椅子に腰かけたその時、ヨイチ、シース、エルシドからテレパシーが来た。
みんなに召喚してほしいと強めの口調でいわれたので、3人を部屋に召喚した。みんな若干怒り気味な気がする。やっぱり、あのせいかな?
「昇君、フィーちゃんとなにかあったでしょ? 僕たちにちゃんと説明して!」
ああ、やっぱりエルフィーとのことか。キスするところは見られていないはずだが、融合したんだし、何もないというほうが不自然だろう。俺は、みんなにエルフィーとデートしたことを話した。
「ふーん。それだけ? そんなんで融合できるようになるの?」
「ちょっと不自然な気がしますね~」
「まあまあ、二人とも。実際に、デートしてみればわかることだ。昇さん、当然、私たちともデートしてくれるおつもりなんですよね?」
「ああ、もちろんだとも!」
これは、実際に前からそのつもりだった。嘘はない。
「じゃあ、僕が最初でいいかな?」
「え~、私も早くデートしたいです~」
「私もだ。ここはまた、ジャンケンで決めよう」




