第73話
なんだって? 俺がプルーメで聞かされた話では、魔王以上の存在なんて聞かなかったな。本当に、大国の一部の人間しか知らないんだろう。
「魔帝はとてつもない力を有しているが、幸いなことに、奴らが自ら動くことはまずない。我が国の調査から考えるに、1000年に数回程度だろう。私としては、下手に刺激するよりは、ほおっておくのも一つの手だと思っている。まあ、実際に遭遇することはまずないだろうから、心配しないでくれ。それより、その魔王の魔王が持つ特殊能力について詳しく聞かせてくれないか?」
「分かりました。私が戦った魔王ケイべスの能力は、闇を操るもので、奴の能力を受けた私は、まるで深夜のような、眠る直前のように体がだるくなり、強烈な眠気を感じ、思考もネガティブになりました。他には、自身を強化する能力と、体を闇のオーラの粒子に変える能力も持っていました」
「ほう、闇の魔王が持つ特殊能力を持ち、さらに粒子化までできるタイプか。よく止めをさせたね。もしかして、君は光魔法が使えるのかな?」
「ええ。たまたま奴と戦っている最中に使えるようになったんです」
「そうか。危機に瀕して新しい力に目覚めることはそう珍しいことではない。ただ、光魔法が使える人間は貴重だ。……どうだろう? 君さえよければ、この城に住んでくれないだろうか? もちろん、部屋や食事、金銭的な援助もしよう」
「ありがとうございます。ただ、少し考えさせてください」
「分かった。良い返事を期待しているよ。実は、私も光魔法を使えるのだが、この国には他に光魔法を使える者がいなくてな。光魔法を強化するための稽古相手が欲しかったのだよ」




