表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/116

第70話 魔王ケイべスとの戦闘   六 

力を分け与える思念矢(プレゼント・アロー)


 その時、エルシドとムサシに抱きつかれた状態のヨイチが、俺に向けてオーラの矢を放った。


 その矢は、俺に当たり、俺の体内に吸収された。その瞬間、ものすごい力があふれだしてくる。ヨイチとエルシドとムサシの力が、俺の身体に流れこんできたようだ。


貴男のためだけの歌(ラヴソング)


 今度は、シースが具現化したヘッドホンのようなものが、俺の耳に装着された。


 シースの歌がダイレクトに聞こえるのだが、不思議と他の音もはっきりと聞こえて、歌による強化の効果も数倍に高まっているように感じる。


 みんなのおかげで、俺の力は圧倒的に強化された。今なら、奴に勝てる!


 俺は、この機を逃すまいと、奴に切りかかる。


 ザシュ!


 俺の剣は、奴が構えた盾ごと、奴の身体を両断した。


「乱れ切り!」


 止めをさすために、高速で奴の身体を切り刻んだ。


 充分に細切れにして、燃やし尽くそうと炎魔法を使おうとしたとき、奴の身体は、無数の黒いオーラの粒子に変化した。


解放する邪悪な力(ダークネス)身体を粒子化型邪悪力(タイプ・エレメンツ)! まさか、この俺が人間ごときに、ここまで追い詰められてしまうとは思わなかったぞ。だが、残念だったな。俺はまだ死にたくはないからな。このまま、逃げ延びてやるぞ!」


 奴の思念が俺の脳内に響いた。俺は、奴の粒子を切ろうとしたり、魔法で攻撃したりしたが、奴にダメージを与えられない。


 奴の粒子の群れは、どんどん遠ざかっていく。


 奴を逃がしてしまったら、そのうち回復した奴に、被害を受ける人たちがでてきてしまう。どうにかして、奴を捕らえたい!


 そう強く思ったとき、俺の気持ちに呼応したように、新たなスキルが発現した。


悪を滅する光の右手ジャスティス・ライトハンド


 俺の右手から、光のオーラがすごい速度で伸びていき、奴の黒いオーラの粒子の群れに追いつくと、20メートルほどの、光のオーラでできた巨大な手のひらになり、奴の粒子を全て握りつぶした。


「ぐおおおおおっ、くそぉ。アスモデウス様ぁ」


 奴の断末魔の思念が、俺の脳内に響いた。その瞬間、奴の邪悪な気配は消え去った。奴は完全に消滅したと考えてよさそうだ。


 緊張の糸が切れた俺たちは、みんなその場に倒れこんだ。俺たちは、歩く力も残っていないが、その場で顔を見合わせ、笑顔を交わした。


「人間達よ、奴を殺してくれたこと、とても感謝している。だが、言いにくいのだが、悪い知らせがあってな。30000体ほどの魔物がこの森の近くまで来ていて、もうすぐ、ここに来そうなのだ」


 おいおい、勘弁してくれ。体調が万全な状態ならまだしも、今の俺たちにそんな大群の相手をするだけの体力は残ってないぞ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ