第67話
魔法戦士として生まれ変わったような感覚だ。今までより、魔力が圧倒的に高まっている。身体能力も、多少向上しているようだ。精神も肉体も、ベースは俺だが、エルフィーのこころも感じる。
今はゆっくりと分析している暇はないな。ムサシが危ない。俺は、急いでムサシと奴が戦っている所まで行った。ムサシはボロボロになっていて、体力も限界に見える。
「人間にしては、なかなかの力だったな。今、楽にしてやろう」
「くっ、無念」
キィン!
奴がムサシに止めをさそうとした攻撃スキルを、盾で受け止める。ぎりぎり間に合った。
「昇殿! 助太刀、ありがたいでござる!」
「いや、むしろ、ムサシ一人に任せすぎて、申し訳ないくらいだ。これくらいは当然だよ。今まで、こいつの相手をしていてくれて、助かった。後は、俺に任せて、ムサシは休んでいてくれ」
「分かったでござる」
ムサシは後ろに下がり、自分を回復し始めた。
「ほう、先ほどとは随分雰囲気が変わっているな」
「雰囲気だけじゃないさ。ファイアボール!」
「バカめ! 俺に魔法を撃つとはな。学習能力がないのか? 魔法反射!」
奴は、案の定、魔法反射を使ってきた。予想通りだ。
「ふん、魔法反射に自信を持ちすぎだ。その自信があだになったな! 火の玉型爆発魔法!」
魔法反射の魔壁に当たる直前、奴に一番近いところで、俺は魔法を爆発させた。
大きな爆発音とともに、直径30メートルほどの巨大な爆炎が、一瞬で、生まれ、消えていった。
本来、この魔法は非常に進行速度が遅く、奴ほどの実力があれば簡単に避けられてしまうのだが、奴が反射させることにこだわったため、爆発を直撃させることが出来た。ファイアボールに見た目が近いことも幸いした。
奴が吹っ飛んでいくのが見える。急いで追撃しよう。
高速で移動して、吹っ飛んでいる最中の奴を切ろうとした。
ゴウッ!
瀕死のはずだと思って、多少油断していたのかもしれない。俺が切りかかる直前、奴は小型の竜巻魔法を撃ってきた。
予想外の反撃に、盾を構えることしかできず、竜巻に飲み込まれた俺は、ダメージを負ってしまい、急いで回復魔法を使う。
奴のダメージは、思った以上に小さかった。おそらく、爆発に巻き込まれる瞬間に、アクアベールのような魔法を使ったのだろう。
万が一、素の状態であれしかダメージを与えられなかったのだとしたら、絶望的だ。
攻撃魔力だけではなく、魔法防御力も大幅に上昇していたおかげで、俺のダメージはこれくらいですんだが、融合する前なら死んでいたかもしれないな。
それほど、奴の魔法は強力だ。物理戦闘だけではなく、魔法もここまでのレベルだとは、予想外だった。
「火の玉型爆発魔法!」




