表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/116

第66話  

 そう考えていると、エルフィーからテレパシーが来た。どうやら、魔力が溜まって、上級攻撃魔法を使う準備ができたようだ。


 よし! それならば、なおさら俺が切りかかって、魔法を命中させるための隙を作らなければな。


 俺は、奴の相手をする決心を固めて、奴に切りかかった。奴は、俺の攻撃を軽く受けて、反撃してきた。


 ムサシと同時に相手をしているというのに、奴の斬撃は速くて、とても重い。


 盾で受けるのがやっとで、剣で受けようものなら、簡単に弾き飛ばされてしまいそうだ。


 それでも何とか、エルフィーがこっそり奴に近づくのをさとらせない程度には、奴の注意を引き付けられている。


 よし! エルフィーは充分やつに近づくことができた。後は、奴に隙を作らせることができれば、勝ちが見えてくる。


 俺は、エルフィーにテレパシーで合図を送り、危険を承知で、わざと隙を作った。


 案の定、奴が大振りの攻撃を仕掛けた瞬間、エルフィーが、魔法を放った。


悪を滅する業火(ヘルファイア)!」

「バカめ! 魔法反射マジック・リフレクション!」


 くそっ! エルフィーに気が付いていながら、気づいてないふりをしていたのか! 奴は、エルフィーの魔法を、俺に向けて反射させた。


 態勢を崩したままの俺は、かわすこともできない。大きな炎が、俺の目前に迫ったその時。


守るための位置交換(チェンジ・ポジション)!」


 エルシドが叫んだかと思うと、俺とエルシドのいた場所が入れ替わった。


 次の瞬間、エルシドは巨大な炎に包まれた。


「エルシドー! くそっ! 消火するための水魔法(クエンチュ)!」


 ムサシが奴の相手をしている間に、俺は消火魔法に全力をそそいだ。30秒ほど魔法を使い続けると、エルシドにまとわれていた炎が消えた。


 良かった。全身が焦げて、大きなダメージは負っているものの、命はある。


 悪を滅する業火(ヘルファイア)は、邪悪なものに効果が高いが、聖騎士であるエルシドのような、聖属性が強いものには効果が低い。その特性が幸いした。


「シース、強化歌はいいから、エルシドを回復してあげてくれ」

「はい、わかりました!」


「ヨイチも、多少は回復魔法を使えるだろう? エルシドを頼む」

「うん、任せて!」


 くそっ! 俺が、みんなの前でエルフィーとキスすることをためらわずに、三つめのスキルを使っていれば、エルシドはこんなめにあわなくても済んだかもしれないのに!


 今は後悔している場合じゃないな。シースの強化歌もなくなり、ムサシはかなり押されている。急がねば。


 俺は、エルフィーのもとに駆けだした。エルフィーも俺と同じことを考えているようで、俺に向かって走ってくる。


 俺たちは、しっかりと抱き合い、ディープキスをする。その瞬間、俺たちの肉体は混ざり合い、俺たちは、新しい一人の人間になった。


 三つめのスキル、愛し合う者同士の融合(ラヴ・ハーモナイズ)の効果によって、俺の能力と、エルフィーの能力が掛け合わされる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ