第52話 エルフィーとのデート Ⅵ
エルフィーは、紅茶は苦すぎないものが好きで、コーヒーは、酸味が強いものが好きなようだ。俺の経験上、女性は酸味の強いコーヒーを好む子が多いな。
実家にいた時、よく母親とコーヒーを一緒に飲んでいたことを思い出した。2キロで2500円程の安い豆をネットで買い、俺がよく豆をひいたものだ。
俺は苦い豆が好きで、母は酸味が強い豆を好んだ。そのため、1キロずつ味が違う豆を注文するのが常だった。
ひきたての豆で淹れたコーヒーを飲みながら、母と雑談をする、あののんびりとした時間が懐かしいな。
今度、実家に帰って一緒にコーヒーを飲もうかな。まあ、思い出にひたるのはこれくらいにしておくか。
ケーキも好きなものを選べるようで、俺たちは、数分話しあった結果、俺はチョコケーキ、エルフィーはチーズケーキを選んだ。
数分後、先ほどのおいしい食事の話題で盛り上がっている俺たちに、コーヒーと紅茶とケーキが運ばれてきた。
俺たちは、まずコーヒーを少し飲んでから、ケーキを食べ始めた。
「このチーズケーキ、すっごく濃厚でおいしい! それでいて全くしつこくなくて、すごく食べやすい」
「このチョコケーキは、チョコ感がとても強いよ。世の中には、なんちゃってチョコケーキやチョコ菓子が氾濫しているけど、これは、カカオ感が強くて、さらに、カカオの上質さを感じさせる。
そして、カカオ感が強いチョコにありがちな、甘さを抑えすぎたものとは違い、適度な甘さがあるのも素晴らしい!
苦みの強いコーヒーと紅茶で、舌をリセットさせ、新鮮な気持ちで、濃厚なチョコ感を楽しめる。ケーキも飲み物も、とってもレベルが高いね」
俺たちは、3口ほどケーキを食べさせあい、コーヒーと紅茶も、お互いの分を少しずつ飲みあって、違う味を楽しんだ。
そんな風にイチャイチャしながら、たいして内容のない雑談が盛り上がった。そうして、俺たちはゆっくりと味わって、ケーキを食べ終えた。
俺たちは、今まで食べたことがないくらいおいしい料理に満足して、レストランを出た。
次は、動物園に向かおう。動物園に着くと、もう4時だった。日本なら、大体5時で閉園だが、ローラリンの動物園は、11時までやっているので、ゆっくりと見ても大丈夫だろう。
とはいえ、日が暮れる前に野外の動物は見ておきたいな。室内は後にして、先に野外限定の動物を見ておこう。
俺たちは入園料を払い、入園した。入ってすぐのところに、キリンがいた。ちょうど、えさの葉を食べているところだ。