第50話 エルフィーとのデート Ⅳ
「この、豆を加工して、肉のステーキに近づけたもの、すごく食べやすくておいしいわ。肉ほどくどくはないんだけど、かといってたんぱくになりすぎないように、いろいろ工夫されているわ。そして、このソースの味付けが絶妙で、豆の味を最大限に引き出しているの。昇もちょっと食べてみて?」
エルフィーにあーんされる。少し気恥ずかしいが、されるがままに豆ステーキを頂いた。
「うん。これはおいしいね。そこら辺の肉のステーキよりよっぽどおいしいよ。豆をここまでの味に仕上げるなんて、ここのシェフはすごいね」
俺に運ばれてきた肉のステーキも食べてみる。
「う、美味い! この肉、めちゃくちゃ美味いよ! 何の肉だろう? 俺は今まで、こんなうまい肉は食べたことがないな。
適度な脂身は、舌ですぐにとろけて、上質な甘みを口いっぱいに広げる。そして、なんといってもこの赤身!
固すぎず、柔らかすぎない食感で、噛めば噛むほど肉のうま味が増す。さらに、このソース!
最初にかかっているのはごく少量で、それとは別に、別の容器にたっぷり用意してくれているから、薄味好きでも濃い味が好きな人間でも、好きなように食べることが出来る。
気遣いもうれしいが、何よりソース自体がめちゃくちゃ美味い!
塩味が強すぎず、ソースの材料のうま味が、元々おいしい肉の美味さをさらに何倍にも引き立てている。
さらに、ソースの容器と、肉を温めるための焼き石が最初から2つ用意されていて、客に温かいまま、おいしく食べてほしいというシェフの思いやりを感じさせる。
そして、このライスもとてもうまい。米自体の質も高いだろうし、炊き加減が絶妙だ。この肉とソースとの相性も抜群で、いくらでも食べられそうだ」
「そんなに、美味しいの? 私にも少しくれない?」
おねだりするエルフィーもとてもかわいいな。
「ああ、もちろん。どうぞ」
今度は、俺がエルフィーにあーんして食べさせる。エルフィーの表情が、今までに見たことないような、おいしそうな表情に変わった。
「なにこれ? とっても美味しいじゃない? 肉があまり好きじゃない私でも、これならいくらでも食べられそう」
俺たちは、とてもおいしくステーキを頂いた。まずいな、最後にパスタが来るはずだけど、美味すぎてつい食べ過ぎてしまった。ライスをおかわりしてしまったからな。腹がいっぱいになってしまった。
「どうぞ、魔法のコーヒーでございます。このコーヒーは、一般のコーヒー以上に消化を高めます」
魔法のコーヒー? たしかに、コーヒーには消化を早める効果があることは有名だけど、せいぜい4時間かかるところを3時間にするとか、そんなもんだろう?




