第49話 エルフィーとのデート Ⅲ
エルフィーは、肉を食えないわけではないけど、野菜の方が好きなんだよな。まあ、これはエルフ全般がそうらしいので、エルフィーの問題ではないんだけど。
この時間なら、どの店でもそこまで混んではいないだろう。全く人が入ってない店よりは、多少客がいる店にするか。せっかくのデートだし、おいしい方が会話も弾むだろう。
何件かレストランを覗いて、この時間でも多少客が入っている店があったので、ここに決めた。
内装がおしゃれで雰囲気のいい店だ。ちょうど、個室のようになっている上席が空いたばかりのようで、俺たちは、他人の視線が気にならないその席に座った。
「いろいろメニューが多いわね。どれにしようかしら?」
俺たちは、メニューを見ながら、あれにしようかこれにしようかと話し合った。
俺は、メニューを見て、どれにしようか考える時間が好きで、よく友達に急かされたりするのだが、エルフィーも俺に似て、メニューを決めるのが遅いらしい。
俺たちは、あーだこーだ言いながら、結局AコースとBコースを注文して、取り皿も持ってきてもらい、シェアしながら食べることにした。
こうやって、急かしたりしないで、メニューを一緒に楽しく決められる女の子が俺は好きだ。今回のデートで、ますますエルフィーのことを好きになっている自分に気づいた。
最初に、スープを持ってきてくれた。かぼちゃのスープだ。
「このスープ、かぼちゃの甘みが強くておいしいわ。それに、少しだけ添えたハーブの香りが、かぼちゃの香りを邪魔しないながらも、スープ全体の香りを高めているわ」
「うん。かぼちゃのまったりとした甘みを、絶妙の塩加減でさらに引き立て、この少しのハーブが、スープ全体をくどくならないように引き締めているね。さらに、体調を崩しやすいこの時期に、スープの主役に栄養価の高いかぼちゃを選んでくれて、ありがたいね」
かぼちゃのスープをおいしくいただき、次はサラダが運ばれてきた。ドレッシングは別の容器に多めに用意されていた。自分で好きな量をかけて食べるようだ。
「このサラダ、野菜がとても新鮮でシャキシャキしていておいしい。それにこのドレッシングもとてもおいしいの。それでいて主張しすぎないこの絶妙な味付けには、ドレッシングはあくまで新鮮な野菜の味を引き立てるものというシェフの強いこだわりを感じるわ」
「うん。オイリーすぎもせず、塩味もそこまで強いわけではない。野菜のうま味を上手く生かした、野菜が原料のドレッシングだね。新鮮な野菜はそれだけでも十分においしいけど、このドレッシングのおかげで、さらにおいしく食べられるね」
サラダを食べ終えると、俺には肉のステーキ、エルフィーには豆腐のステーキのようなものが運ばれてきた。スープとサラダは共通だったが、これ以降は別のようだ。




