第48話 エルフィーとのデート Ⅱ
きれいな花や、見たこともないような変わった植物。葉っぱの感触が、ふわふわしていたり、さらさらしていたり、つるつるしていたりする、触って楽しむ植物。とても大きな木や、食虫植物など、いろいろな植物を見て楽しんだ。
それらを見たり触ったり驚いたりしている、エルフィーの反応がいちいちかわいい。明るい性格のエルフィーの反応は、とてもストレートで、小さい女の子のようだ。そんなエルフィーとのデートは、とても楽しくて、俺は元気づけられているような気がした。
園内の喫茶店に入り、自分たちでハーブを選んで摘み、それをハーブティーにしてもらった。
「あっ。このブレンドおいしいわ。昇も飲んでみてよ」
「おお、鼻に抜ける香りが爽やかでいいね。味もそれほどクセがなくて飲みやすい。俺のブレンドは、多少甘みがあるんだけど、ちょっと独特のクセがあって、人を選ぶかもしれないけど、飲んでみる?」
「ええ、いただくわ。……うん。おいしいじゃない。私、これ好きよ」
「それは良かった。俺と、食べ物の好みも似ているのかもしれないね」
俺たちは、数回ブレンドしなおしながら、植物園の果物を使ったケーキを食べた。
「このケーキも、新鮮な果物を上手く生かしていて、おいしいわね」
「うん。ケーキの部分は、味を控えめにして、新鮮な果物を引き立たせることに力を入れてるね。やたら甘くしたケーキなんかもあるけど、やっぱり果物が新鮮で上質な場合は、ケーキの味は弱くしてほしいよね」
エルフィーとのおしゃべりは、大した話でなくても盛り上がる。俺は、こういう風に、何気ない会話を楽しめる子が好きだ。俺とエルフィーの相性はばっちりだと思う。
喫茶店を出て、また植物観察を続けながら歩いてるうちに、植物園の出口に着いた。多少名残惜しいが、植物園を出て、動物園に向かう。
もう2時半か。そろそろ昼飯にしよう。俺は、昼食に限らず、外食するときは、できるだけピークの時間帯からずらすようにしている。
俺にとっては、店内が空いているかどうかは、味や値段以上に重要視しているポイントだ。混んでいて安くておいしい店よりは、空いていて高くてまずい店を選ぶことが多いほどだ。
空いている店は、俺にとってはそれほどの価値があるのだ。さりげなく、エルフィーの店を選ぶ基準を聞いてみると、なんと俺と似たようなものだった。
エルフィーも、多少まずくても、好きな人と一緒の時間をゆったりと過ごしたいそうだ。
さりげなく、エルフィーに好きだと伝えられて、俺は少し照れながら、エルフィーと見つめあっていた。
普段は明るくて元気なエルフィーが、時折見せる、女性らしくて色気のある表情。この顔を見ると、妙にムラムラしてしまうんだよなあ。
あまり道端でイチャイチャするわけにもいかないので、適当に店を探すか。