第45話 ローラリン帝国
ラビィさんに話を聞くと、近々ローラリン帝国が魔王討伐を計画していて、各国の強者に協力を要請しているとのことだ。
みんなとも相談した結果、ローラリン帝国の首都、ローラリンの街に向かうことにした。リョフの愛馬に、リョフと一緒に乗る。
リョフが手綱を引くと、馬はすごい速さで駆けだした。馬は休むことなく走り続け、俺たちは数時間でローラリンの街に到着した。
門番にラビィさんからもらった、ローラリン帝国の使者の手紙を見せると、城に案内された。
ローラリンの街の規模は大きく、ざっと見ただけでもプルーメの20倍以上はありそうだ。
ローラリン城もとても大きかった。城の外の訓練場に案内されると、少し待たされ、少将がやってきて、木刀で軽く手合わせをすることになった。
少将と3分ほど戦った結果、俺は十分な強さを持っていると判断されたらしく、城内の豪華な客間に案内された。
一人で使うには豪華で大きすぎる部屋に、俺専用のメイドさんも用意されて、お茶や果物などもすぐに持ってきてくれる。
俺以外にも、先にテストに合格した人は何人かいたようで、明日顔を合わせることになった。
翌朝、豪華なベッドでぐっすりと眠ったおかげで体調がいい。メイドさんが運んできてくれた、豪華な朝食を食べ終えて、他の強者たちと顔をあわせるため、大部屋に案内された。
大部屋には、既に一人来ていた。和服を着ていて、日本刀のような武器を持つ、侍のような雰囲気の、長くて美しい黒髪の美少年だ。160センチほどの小柄で、筋肉もあまりない。
「む、お主が昨日、テストに合格した方でござるか。拙者はムサシという名の、旅の剣士でござる。お主の名を聞いてもよろしいか?」
俺が自己紹介をしていると、人が入ってきた。220センチ以上ある、大柄で筋肉質の、ひげ面の大男だ。まるで陸上競技の、とうてき選手のようにごつい体をしている。年は30後半といったところか。
「おお、お前が昨日の奴か。悪いが、たいして強そうには見えんな。まあ、よろしく頼む」
おっさんとお互いに自己紹介を済ます。おっさんは、イヴァークという名で、ローラリン帝国領内の、ある海域の交易を牛耳る集団の親分らしい。
時には、末端の若者が海賊行為をはたらくこともあるのだが、たびたび今回のような活動に協力することで、ある程度の違法行為も黙認されているらしい。
まあ、実際のところ、ローラリン帝国領は広すぎて、ところどころ、統治が完全にはされておらず、法より力が勝っている地域があるみたいだ。
話してみると、二人とも以外に気さくで、話しやすい人だった。俺たちが椅子に座って雑談していると、また人が入ってきた。




