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第44話  アルミラージの魔人との戦闘  Ⅲ

 俺が回復するまでは、リョフ一人に戦ってもらおう。


 力を増した奴は、素早くリョフに近づいてきた。そのスピードは、先ほどより速くなっているかもしれない。


 リョフは、武器を巧みに操り、奴を近づけさせない。俺は簡単に懐に入られてしまったが、やはりリョフの武器さばきはレベルが高い。


 なかなか飛び込むタイミングを取れない奴は、ダメージを覚悟で、リョフの攻撃を受けながら、強引に距離を詰めた。


 奴の強力そうなキックをかわすものの、インファイトに持ち込まれ、数十発のパンチやキックをぎりぎりでかわし続けていたリョフだったが、ついに腹にパンチを受けてしまった。


 大きく吹っ飛ぶリョフを、追撃しようとする奴のスキをついて、俺は切りかかった。


 俺の攻撃を、奴は手甲のような骨で受け止め、キックしてきた。あわてて盾で受け止める。


 盾で防いでいるにもかかわらず、奴のキックは、俺を吹っ飛ばし、ダメージを与えるほどのとてつもない威力だ。


 奴のパンチを受けたリョフは大丈夫だろうか? 見たところ、リョフに深刻なダメージはなさそうだ。さすがはURといったところか。


 このままでは、分が悪い。俺たちは、急いでテレパシーを使い作戦をねった。


 シースが身体能力を強化する歌を歌った。リョフと俺とエルシドが奴の相手をする。


 エルシドの体制が崩れて、奴が大振りのキックをする。そのわずかなスキを待っていたヨイチが、矢を放った。


「パラライ・ショット」


 スキをつかれ、さすがの奴でもかわせなかった。ヨイチが放ったパラライ・ショットは、見事に奴の眉間に命中した。


 一瞬だけ、極端に動きが遅くなった奴から俺たちは距離を取る。


 巨大な槍が飛んできて、奴の身体を貫いた。エルフィーがずっと魔力を溜め続けて、上級具現化魔法を使い、具現化した槍を風魔法を使い放ったのだ。


 槍が貫通し、まだ動きが鈍い奴に対して、俺たちは、隙が大きいが高威力な攻撃スキルを叩き込んだ。


 鎧のような筋肉を持つ奴でも、俺たちの攻撃をもろに受け、さすがに力尽きたようだ。念のため、死体は燃やして灰にした。


 喜びも大きいが、それぞれが全力を尽くして戦っていたため、みんな、喜ぶよりも先にぐったりと座り込んでしまった。


 一般のウサビト兵と魔物の戦闘も、ウサビト兵側が勝ったようだ。


  

 アルミラージの魔人を倒した俺たちは、トッキャロ王国の国民から、熱烈に歓迎された。


 その日は疲労が大きかったため、俺たちは王の家の客間ですぐに寝た。翌朝、多少疲れは残っていたものの、戦勝会と歓迎会を兼ねた宴会に参加した。


 野菜ばかりの宴会というのも変わっているな。


「あっ、昇さん。もう身体は良くなったピョン? 昨日は、本当にありがとうございましたピョン」

「ええ、ご心配をおかけしました。体調はいいです」


「それは良かったピョン。今日は、思いっきり楽しんでほしいピョン」

「では、お言葉に甘えさせていただきます」


 俺たちは、野菜ばかりだが、とてもおいしい料理や、ウサビトの歌や踊り、演劇を楽しんだ。


 次の日、俺はラビィさんの戦闘テクニックを身につけたくて、ラビィさんに手合わせをお願いした。ラビィさんは快く承諾してくれた。


 分析眼(アナライズ・アイ)も使い、5日ほどで大体の技は習得した。足技を中心に、動きが洗練された気がする。


 その間に、ラビィさんに面白い話を聞いた。ここから少し離れた山奥にウサビトの拳法の達人が住んでいるらしい。


 余裕があるときにでも尋ねてみよう。そう考えながらその日は寝た。翌朝、トッキャロ王国に、ローラリン帝国の使者がやってきた。


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