第38話 嫉妬のレヴィアタン
「強者の威圧」
リョフはスキルを発動させた。兵士達は、リョフのプレッシャーで身体が固まり動けないようだ。
唯一、ファラグロウ派の大将だけはなんとか動けるようだったが、リョフに簡単に捕らえられた。
女王に忠誠を誓うか確認し、誓ったものは動けるようにした。100名ほどは、ファラグロウ派のままだったが、ほぼ兵士全員が女王派に戻った。ファラグロウ派は再び牢屋に投獄された。
こうして、プルーメ王国の内乱は大きな被害をだすことなく終わった。
――レヴィアタンの城
「おや、嬉しそうですね。レヴィアタン様」
「くくくっ、今、人間の強烈な嫉妬心を感じたよ。これは、いい手駒になるぞ」
「レヴィアタン様お得意の、人間の心の闇に付け込んで、その人間を悪魔にする能力を使われるのですな? さらに、その悪魔が嫉妬している対象を殺した時、その悪魔は完全にレヴィアタン様に支配され、絶対に命令に逆らわらない従順な機械になり、レヴィアタン様ご自身の戦闘能力も強化される、あの能力を」
「ああ、俺は、数千年前からずっと他の魔帝から軽んじられてきた。たしかに昔は、他の魔帝よりも俺の力が劣っていたのは事実だ。だが、この能力のおかげで、今では奴らと同等か、それ以上だ。くくくっ、俺をなめてた奴らを、俺にひざまづかせる日が楽しみだよ」
「その人間のもとにはどなたを送り込みますか?」
「うむ。タミーネでいいだろう。では、俺の能力を具現化した魔石を渡して、向かわせろ」
「かしこまりました。そのようにお伝えいたします」
――プルーメ王国
プルーメ王国の、貴族などお偉いさん達の会議の結果、ファラグロウに変わり、俺が事実上の統治者になってしまった。
俺は統治者なんてガラじゃないから、統治者ガチャを回すことにした。アレクもある程度統治能力はあるが、やはりアレクには戦闘で活躍してもらいたい。
統治者ガチャの、11連ガチャ6回目で、アレクやリョフの時と同じ演出があり、出現したのは、★★★★★URのアウグストゥスだった。
地中海風の品の良さそうな美人の女性だ。コストは30だった。戦闘能力が低いユニットはSR以上でもコストは低めのようだ。
これからは、アウグストゥスに内政を任せることにした。
俺は、ドラゴンに苦戦したこともあり、アレクやリョフに稽古をつけてもらうことにした。それから1週間は、稽古に集中していた。
アウグストゥスの統治は国民から好評みたいで、安心した。エジソンも中断された発明を再開し、忙しそうだった。
俺の魅力値は相当高くなっていたので、今はSR以上のユニットを、常にこの世界に召喚したままにしておける。
アレクとリョフに厳しく稽古をつけられて、夕食を取った後、俺が部屋で休んでいると、ノックしてエルフィーが入ってきた。
「あの、昇。エルフの森での約束、覚えている?」
「ああ、もちろん覚えているよ」
「良かった。……ねえ。ちょっと約束とは違うんだけど、今度、私とデートしてくれない?」
エルフィーが上目づかいでかわいく見つめてくる。こんな頼み方をされたら、断れないな。
「ああ、いいよ。休憩も必要だからね。明日にでも、デートしよう」
「本当? 嬉しい」
エルフィーが俺に抱きついてきた。エルフィーは嬉しそうに俺の胸板にほおずりしている。やっぱりエルフィーは俺の胸筋が好きなようだ。
「ねえ、昇。もっとお願いしてもいい?」
「ん? なんだい?」
甘い雰囲気で抱き合いながら、聞いてみる。
「今夜、昇と一緒に寝たいの」