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第35話  エルフの里で  Ⅲ


 ゴゴゴゴゴゴゴ! ブシューーーーッッ!


 大きな音を立てて現れたのは、高くて太い水の柱だった。熱っ! どうやら水ではなく、お湯のようだ。それに、硫黄のような匂いもする。どうやら、ドラゴンが倒れた衝撃で、温泉が湧いたらしい。


 俺たちは安堵した。同時に、緊張の糸が途切れ、一気に疲れを自覚した。眠い。今は、とにかく寝たい。俺は、地面に横になり目をつぶると、すぐに眠りに落ちた。






――アスモデウス城


「アスモデウス様、今、ご都合よろしいでしょうか?」

「うむ。ちょうど今交尾が終わったところだ。入れ」


「失礼します。ドラゴン様が殺されたようでございます」

「ふむ。そうか。所詮その程度の奴だったというだけのことだ。そんなことより、俺様は今、獣人共と交尾したい気分なんだ。ただ、獣人の予備が減ってしまっていてな」


「さようでございますか」

「ああ。早速、ケルベロス、猫又、妖狐、アルミラージに産ませた獣魔人たちに、それぞれ獣人の国を征服し、メス共をこの城に連れてくるように連絡しろ」


「分かりました。それでは、それぞれ、コントツ王国、カナーサ王国、ブラゲーア王国、トッキャロ王国に向かっていただくよう、連絡いたします。アスモデウス様の魔力を、1日半から3日ためてつくられた、ドラゴン様以上のお力を持つ獣魔人様たちですからな。さすがに、心配ないでしょう」


「うむ。それと、魔王ケイべスに、幻獣族でも妖怪族でも巨人族でもなんでもいいから、上級生物を俺様のもとへ連れてくるように伝えろ。一応、戦力を強化しておく。奴ら上級生物は、一生に産める数が極端に少ないからな。予備はいくらあってもいい」


「かしこまりました。そのように手配しておきます」

「うむ。では下がれ。俺様は交尾に忙しいからな」

「はっ」





――エルフの里


 

 俺が眠りから覚めると、もう夕方近くだった。シースが膝枕をしながら、回復魔法をずっとかけていてくれたらしい。


 シースに膝枕されたまま、寝ぼけながら、あたりをぼーっと何気なく見渡していると、エルフたちが忙しそうに働いていた。


「あっ。昇さん、お気づきになったんですね~。安心しました~」

「ああ。シース、ありがとう。ところで、みんなは何をやっているんだい?」


「ええ、ドラゴンを倒した後、温泉が湧いたので、昇さんに入ってもらいたくて、みんな、大急ぎで岩や木材を利用して、浴槽を作っているんです~」

「そうか。みんなも疲れているだろうに、俺のために頑張ってくれてるのか。温泉以上に、みんなの気持ちが嬉しいよ」


「ふふっ。完成には程遠いですけど、もうすぐ一通り、小さい浴槽だけなら出来上がりそうですよ~」


 作業をしていた、エルフィーとヨイチとエルシドが、俺が目覚めたことに気づいて、俺のもとにやってきた。


「あっ、昇。気づいたのね。良かったわ」

「昇さん、もうすぐ温泉に入れますよ。戦闘の疲れを癒してください」

「そうそう、昇君はこのエルフの里の救世主なんだから、胸を張って、一番風呂に入ってよ。それで、すぐに僕も入るからね。一緒にお風呂に入ろうよ」


「なによ、ヨイチ。それなら私だって昇と一緒に入るわよ!」

「それなら、私もご一緒したいです~」

「そういうことなら、当然私も昇さんと一緒に入ります」


「そのお話、私も混ぜてくださいな」


 いつのまにか、エルファさんも俺の近くに来ていたようだ。こうして、エルファさんも含めて、俺たちは6人で温泉に入ることになった。

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