第34話 竜魔人の真の姿 Ⅱ
「ビッグアクアシールド」
エルシドが、巨大な水の盾を出現させた。水の盾は、炎のブレスを受けてはいるが、徐々に蒸発している。このままではもたないだろう。
「分析眼」
俺は、ビッグアクアシールドを素早く分析した。今、俺がこの魔法を失敗したら、みんな死んでしまうだろう。やるしかない!
「ビッグアクアシールド」
俺の魔法は成功し、エルシドの魔法が消えかかる直前に、巨大な水の盾を出現させた。エルシドと俺の魔法で、なんとかドラゴンの2回目のブレスを耐えきった。
「みんな、やみくもに攻撃していても奴は倒せない! 俺の作戦を聞いてくれ!」
エルシドもだいぶ消耗している。奴の3回目のブレスを受けることは不可能だろう。奴がブレスを吐いてくる前に倒さなくては!
みんなに作戦を伝えた。みんな、協力してくれるようだ。まず、エルファさんとシースが、全員の攻撃魔力を高める歌を歌う。
これで、準備は整った。俺は、ドラゴンに向かって全力でダッシュした。かなりドラゴンに近づいたとき、ドラゴンが尻尾を使って攻撃してきた。
その攻撃を大ジャンプでかわす。俺は20メートル以上ジャンプし、ドラゴンの頭上を越えた。
「今だ!」
俺の合図で、数千人のエルフを含む、全員が得意な攻撃魔法を俺に向かって放った。みんなの攻撃魔法は、俺のスキル、魔法剣に吸収された。
受け取った魔法は、雷と炎の魔法が大半を占めている。少ない割合の風魔法に、俺自身の風魔法を加えて、30メートルほどの風の刃を作った。
その長い刃を、ドラゴンの頭上から、ドラゴンめがけて振り下ろす!
刃がドラゴンの身体に当たった瞬間、強烈な光と音が鳴り響いた。ドラゴンの身体を雷が駆け巡り、炎が全身を焦がす。それは、一瞬の出来事だった。
次の瞬間、炎に包まれているドラゴンの身体を、俺の風の刃が両断していた。
両断されたドラゴンの身体は、ゆっくりと倒れた。ズシン! ドラゴンの身体が完全に倒れ、その時、地震のように地面が振動した。
ドラゴンの身体は燃え続けていた。俺たちは、念のため、灰になるまで見届けた。
ドラゴンの身体が完全に灰になったのを確認し、俺たちは大いに喜びあった。
ゴゴゴゴゴゴゴ! 2分くらいたっただろうか。俺たちが喜びを味わっているとき、大きく地面が振動し始めた。
……おいおい、まだなにかあるってのか? 勘弁してくれ。俺たちはすでに満身創痍で、もし、新たな脅威が出現するようなことがあれば、俺たちにはもう対処する力なんて残っていない。




