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第33話  竜魔人の真の姿

 その3秒を無駄にするわけにはいかない! エルファさんとのテイヌシュで身に着けた、オーラのコントロールを最大限に発揮する。 俺は素早く横に飛んでから、全力で奴に向かってジャンプし、切りかかった。


 遅延空間(スロウ・ルーム)の効果で、剣を受けようとする奴の腕の動きは、スローモーションのように遅い。俺は、ほぼ無防備の竜魔人の胴体を切った。竜魔人は上半身と下半身に両断された。


 その瞬間、歓声が上がり、4人が俺に駆け寄ってきた。俺はみんなに抱きつかれた。


「すごいわ、昇。格好良かったわよ。まあ、あんたがあんな奴に負けるなんて、みじんも思ってなかったけどね」

「昇さん、すてきでした~」


「昇君。最高だよ。もう君は名実ともに僕らのリーダーだね」

「昇さん。もう私ではあなたを守れないかもしれませんね。昇さんはもう、私以上に強い。嬉しいような寂しいような。とにかく、おめでとうございます。すてきでしたよ」


「ははは。みんな、ありがとう」


 和やかな空気になったその時。


「くそがあああああああああああああああ!」


 一瞬で空気が張り詰める。


 身体を真っ二つにされて、死んだと思っていた竜魔人の声が聞こえた。


 先ほどまでは知性的な雰囲気だった竜魔人が口汚く叫んだかと思うと、竜魔人からとてつもない強大な赤黒いオーラが発せられた。俺は直感した。ほっとくとまずい、今すぐ止めを刺さないと。


 そう思ったが、あまりのオーラに威圧され、体が動かない。みんなも同じく動けないようだ。


「人間ごとき下等生物が、アスモデウス様とドラゴンを直接の親に持つこの俺様を見下しやがったな! メスを殺さないように手加減してやったらいい気になりやがって! もういい、お前ら全員皆殺しだ! 命乞いをしても無駄だぞ! 本来の姿になれば理性がなくなり、目に入る生物すべてを殺しつくすまでは記憶がないんだ! お前らの泣き叫ぶ顔が見られないのが残念だよ!」


 そう叫ぶと、竜魔人は体高20メートルはあろうかという、赤黒く巨大なドラゴンに姿を変えた。とてつもない、圧倒的な力を感じる。


 ドラゴンは間髪いれずに、広範囲の炎のブレスを吐いてきた。まずい、俺の身体はまだ動かない。俺は、みんなを守れずに死んでしまうのか?


「パリィ・ウィンド」


 エルファさんの上級風魔法のおかげで、炎のブレスは上空に流された。おかげでみんなにダメージはない。しかし、エルファさんはひどく消耗している。


 エルファさんがブレスを受け流してくれている間に、俺も含め、みんな動けるようになったようだ。ドラゴンがまたブレスを吐いてくる前に、一気に倒してしまおう。


 エルフたちも含め、俺たち全員は、攻撃魔法や弓など、それぞれ一番得意な遠距離攻撃をドラゴンに向けて放った。


 ドラゴンに多少のダメージは与えられるものの、致命傷には程遠い。さらに、ドラゴンは、自動回復の特性を持っているようで、すぐに回復してしまう。


 くそっ。小さい攻撃じゃだめだ。とにかく強力な一撃を叩き込まなくては。……そうだ! 俺のあのスキル。奴を倒せるとしたら、あれしかない!


 俺が考えている間に、ドラゴンはまたブレスを吐いてきた。エルファさんはもうパリィ・ウィンドを使う余力は残っていないようだ。くそっ、ここまでか。




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