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第31話  シースの成長

「それは、興味深いですね。僕たち人間にも、精霊は会ってくれるんでしょうか?」

「分かりません。ですが、昇様のお時間の都合さえよろしければ、私はいつでも一緒にお供いたします。私がご一緒しなければ、迷ってしまい、一生森から抜け出すことが出来なくなってしまうでしょう」


「ありがとうございます。心の準備もありますし、数日考えてみます。……そういえば、歌がお上手なエルファさんにお願いしたいことがあるんですが」

「私でよろしければ、いくらでも協力いたします」

「ありがとうございます。では……」


 俺は、シースに歌や楽器を教えてあげてほしいと、エルファさんにお願いした。シースの支援スキルは、歌を使って味方を強化するものなので、単純に、歌が上手いほど、効果は上昇するだろうと考えたのだ。エルファさんは快諾してくれた。


 その日の午後から1週間は、シースの支援スキルと攻撃魔法の訓練に付き合ったり、エルシドやヨイチと森を散歩したり、テイヌシュで遊んだりして、十分に体を休めた。


 シースは予想以上に歌が上手かった。エルファさんほどではないが、プロの歌手になれないこともないんじゃないかと思うほどには上手い。エルファさんに楽器や歌い方を指導されて、ますます磨きがかかっていった。


 さらに、エルフィーに攻撃魔法の効率の良い使い方を教えてもらって、威力や精度、発動時間の短縮など、こちらもどんどん成長していった。戦闘でも、シースの攻撃魔法は十分戦力として期待できそうだ。


 こうして、俺は4人の女子や、エルフたちと楽しくのんびりと過ごしていた。


 明日はエルフたちのヨークの試合を観戦する約束をしている。俺はシースとエルシドの柔らかく豊満な体に挟まれながら、眠りについた。


 朝食を食べ終えて、一時間ほどしてから、ヨークの試合が始まった。エルファさんに説明された限りでは、ヨークというのは、ほぼ野球と同じようなスポーツだ。


 ルールを聞いただけでは、4人の女子はピンと来ていなかったので、実際に試合を見て覚えてもらおうということだった。

 

 試合も終盤に差し掛かったころ、フライを目で追ったときに、遠くの空からここに向かってくる飛行物体を発見した。それは、凄い速さで近づいてくる。


 形がはっきり分かるところまで来た。鳥とは違う、爬虫類の雰囲気を持つ翼を背中からはやした、赤黒い人型の魔物だ。前見たトカゲ兵に似てなくもないが、トカゲというよりは恐竜とかドラゴンに近い。


 見た目は、完全にドラゴンというわけでも、人間というわけでもないが、若干ドラゴンの見た目が勝っている。仮に、竜魔人とでも呼ぶか。


 ヨークの試合は中断され、エルフたちは非難した。空いたグラウンドに竜魔人はおりたった。


 竜魔人から感じられる力は、エルフの森で戦ったミノタウロスの魔物以上だ。奴は5人がかりでなんとか倒したが、俺はあの時以上に強くなった。自分の力を試してみたい。


 俺は、愛の力(ラギッド・マン)を発動させた。竜魔人の表情が変わる。みんなを説得して、俺は奴と1対1で戦うことにした。


「まさか、お前ひとりで私の相手をするつもりか? ふっ。私もなめられたものだな。よかろう、そんなに死にたければ、すぐに殺してやろう」

「ふん、お前こそ、俺をなめてたら後悔することになるよ」


 竜魔人は自分の体内から白い、骨や爪のような素材でできた剣を2本取り出し、両手に握った。そのまま300メートルほど上空に飛び、勢いをつけて急降下してきた。


 ものすごい速さで向かってくる竜魔人。馬鹿正直にあんなのを受け止める必要はない。俺が距離を取ると、竜魔人は角度を変えながらも、ほとんど速度を落とさずに飛んできて、2本の剣で切りかかってきた。


 急降下により勢いのついた攻撃。愛の力(ラギッド・マン)の効果により、力が増している今の俺でさえ、受けた盾と剣を弾き飛ばされてしまった。無防備になった俺を竜魔人は容赦無く切り刻んだ。


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