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第24話  テイヌシュ大会  Ⅱ

 2本目、3本目はあてるだけで精いっぱいで、まともな返球が出来ない。このゲームは落としてしまった。次は俺のサーブだ。俺のサーブは返され、ラリーが続く。だが、ラリー戦では大体俺がポイントを取れる。あのサーブを返してラリー戦に持って行けさえすれば、勝てるはずだ。結局1セット目はエルシドに取られてしまった。


 2セット目の終盤には、エルシドのビッグサーブにも対応できるようになり、ラリー戦の末、2セット目、3セット目を俺が取り、なんとか勝つことが出来た。


「昇さん、さすがですね。その……すごく格好良かったです」

「ありがとう。機会があったら、またやろう」


 俺たちは握手を交わした。準決勝の相手は、ヨイチに決まったようだ。


「昇君、よろしくね。悪いけど、手加減はしないよ」

「ああ、もちろんだ。手は抜かないでくれ」

「いい心がけだね。そういうところ、格好いいよ」


 俺のサーブから試合は始まった。いいコースにいったのだが、ヨイチは簡単に追いつき、前後左右に強烈な回転をかけたボールを打ち分けてくる。圧倒的な運動センスを持つヨイチに、俺は手も足も出ない。簡単に1セットを取られてしまう。さらに、その調子のまま2セット目も取られそうになって、俺があきらめかけた時。


「昇! 頑張れ! あんたなら勝てるわ! 私、信じてるから!」

「昇さん~。頑張ってください~。私も信じてます~」

「昇さん。勝ってください。負けないでください。私も信じています!」


 みんなが応援してくれる。負けたくないな。男として、好きな子の前では格好悪い姿を見せたくない。理屈じゃない。男ってのはそういう生き物だろう? 俺はみんなのことが好きなんだ!


 今まではぼんやりとした気持ちだった。だが、俺はみんなのことが好きなんだと改めて強く自覚したその瞬間、俺の身体の周りにピンクのオーラがまとわりつくように発生した。同時に、俺の脳内に新スキルの説明文が浮かんだ。……なるほど。このスキルは、近くにいる異性からの愛情の深さに応じて、俺の身体能力を強化するらしい。


 エルフィー、シース、エルシドから、太い糸状、というより縄ほどの太さのピンクのオーラが俺とつながっている。いや、今の対戦相手のヨイチや、観戦しているエルファさんもだ。よく見ると、5人ほどの縄状のオーラの太さはないものの、観戦している一般のエルフたちからも、細い糸状のオーラでつながっている。恐らく、オーラが太いほど俺を愛してくれていると考えて間違いないだろう。みんなからこんなに愛されて、俺は幸せ者だな。俺は、ますます負けたくなくなった。

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