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第115話 エルシドとのデート 九
「オペラ鑑賞に行くことなんだけど、今の俺の気持ちを正直に話すよ。これからオペラ鑑賞に行ったとしても、俺はオペラを見ないで、ずっとエルシドのことを見つめていると思うんだ。だから、オペラを見に行っても、あまり意味がないと思う。それよりも、オペラ鑑賞に行くのは中止して、ここで何もせずに、ただ君と一緒にいたい。そう思っているんだけど、どうかな?」
俺がそうエルシドに伝えると、暗めだったエルシドの表情が、ものすごくうれしそうな、かわいらしい笑顔に変わり、身体を反転させ、俺に抱きついた。
「昇さん、ありがとうございます! 実は、私も、もっともっと、昇さんとこうしていたかったんです!」
ああ、やっぱり、エルシドも俺と同じ気持ちだったんだな。なんだか、寂しそうな顔をしていたもんな。