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第113話  エルシドとのデート   七


 俺とエルシドは、そのまま指を絡ませて手を握りあい、お互いのぬくもりと、愛情を感じあいながら、歩いて行った。




 場所の関係で、フーシェの店には行けなかったが、それでも、なんとなく良さそうな店を見つけ、なかなかおいしい昼食を食べることが出来た。


 とはいえ、そのレストランの料理が、本当においしかったのかどうかは、今の俺には分からない。


 というのも、エルシドの本音を聞け、お互いが、強く相手を思いあっていることが分かり、エルシドの深い愛を確信した今の俺にとっては、エルシドと一緒に食べるだけで、10円の駄菓子でさえも、ものすごく美味しく感じるはずだからだ。


 上品なエルシドとは、今までは、食べさせあったりしたことはなかったのだが、試しにエルシドの口元に、料理をのせたスプーンを運んで、エルシドを見つめてみると、エルシドはかわいらしく照れながらも、食べてくれた。


 そして、今度はエルシドが俺に食べさせてくれた。あまり行儀の良い行為ではないが、今まで以上に、エルシドの性格のかたさがとれて、さらに性格が柔らかくなり、かわいらしさが増した気がする。


 こうやって、愛する人に影響を与え、相手からも影響を受け、お互いが少しずつ変わっていく、この感覚。


 俺は、まさに今、自分が恋愛のただなかにいることを実感していた。自分が変化していくことは、少しだけ怖くもあるけど、君の影響を受けて、変わっていくことを感じる幸せの方が、圧倒的に大きいんだ。


 俺たちは、楽しく、とても幸せな気持ちで昼食を食べ終えて、お茶を飲んで少しゆっくりしてから、ダンスホールに向かった。


 ローラリン城の人に頼んで、貸し切りにしてもらったダンスホールに着いた。


 中に入り、誰もいないことを確認して、エルシドが魔法で音楽を奏でる機械に、音楽魔石をセットした。すぐに機械から音楽が流れてきたのだが、思ったよりも音質が良くて、少し驚いた。


 俺は、社交ダンスなんて上品なことは、一回もしたことがなかったのだが、エルシドが優しく教えてくれて、教え方もうまかったのだろう。


 割とすぐに、基本的な動きは覚えて、多少、ダンスの形にはなってきた。


 そうして、時間も忘れて、エルシドと一緒に踊っていて、ふと気がついたのだが、ダンスがすごく楽しい。


 いや、ダンスも楽しいのだろうけど、エルシドとのダンスだから、愛する人とのダンスだから、こんなにも楽しいのだろう。


 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


 次回は、今作っている最中の新作を投稿する少し前に、最新話を投稿します。新作は、完成させてから投稿する予定です。おそらく、1月中には投稿できると思います。


 今後も、別作品などを、よろしくお願いします。


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