第112話 エルシドとのデート 六
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「君の気持ちは、痛いほど伝わったよ。でも、自分が死んでも構わないなんて、そんな悲しいことは言わないでくれ。俺をそんなに大事に思ってくれているのなら、俺のためにも、絶対に死なないでくれ! 俺も、君のために、絶対に死なないことを、今ここに誓う!」
エルシドの涙につられてしまったのか、エルシドの気持ちが嬉しかったのか、あるいはその両方か。それは分からないが、俺はこの時、涙をこらえることが出来なかった。
本当は、大好きな子の前で泣くなんてことはしたくなかったのだが、一度涙が流れてしまうと、もう止まらなかった。
「うぅ。昇さん、私、あなたのためにも絶対に死にません。昇さんも絶対に死なないでください」
俺たちは、抱き合いながら、長い間泣き続けた。
どれほどの時間そうしていたのかは分からないが、やがて、二人の涙は止まり、少しずつ落ち着いてきた。
――ぐうぅ~
そんな時、俺の腹の虫が鳴いた。どうやら、思いっきり泣いたら、腹が減ったようだ。
腹の虫が鳴いた数秒後、俺たちは、タイミングを合わせたわけでもないのに、全く同時に笑い出した。
ふふっ。やっぱり、エルシドは、笑っているところが一番かわいいな。俺は、世界で一番、君を笑顔にさせる男になりたいな。
こんなことは、言わないで、俺の心にしまっておこう。だが、いつか君に言うこともあるかもしれないな。その時、君はどんな反応をしてくれるのだろう。
「ふふふっ。なんだか、私もおなかが減ってきました。そろそろ、レストランを探しに行きましょうか?」
「ああ、そうだね。そうしよう」
エルシドと一緒に歩き出した俺は、さりげなく、エルシドの手を握った。
エルシドは、頬を赤らめ、かわいらしく照れていたが、俺の手を優しく受け入れてくれた。
俺とエルシドは、そのまま指を絡ませて手を握りあい、お互いのぬくもりと、気持ちを感じあいながら、歩いて行った。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
投稿のペースが変わってしまい、申し訳ありません。
最近、自分なりにいろいろと考えた結果、プロを本気で目指すのであれば、新人賞に応募するための執筆活動を中心にした方が良いという結論に達しました。
この、異世界に召喚された勇者は召喚王!? の投稿ペースがどうなるかは、今のところ未定なのですが、新作品を投稿する少し前などに、お知らせの意味もこめて、最新話を投稿するようにします。
次回は、今作っている最中の新作を投稿する少し前に、最新話を投稿します。おそらく、12月中には投稿できると思います。
あまり多くはないでしょうが、異世界に召喚された勇者は召喚王!? を楽しみにしていただいた方には申し訳ないと思っています。ですが、この作品には思い入れがあるため、そのうち、実力をつけたのちに、完成させたいと思っております。
申し訳ありませんが、気長に待っていただけると、ありがたいです。
今後も、別作品などを、よろしくお願いします。