第110話 エルシドとのデート 四
最初は、乗馬をする予定だったな。俺は今まで、一人で馬に乗ったことはないから、エルシドに教えてもらうことにした。
エルシドから簡単な説明を聞いた後は、エルシドが馬を撫でている間に、俺が馬に乗って、そのあと、俺を抱きしめる形で、俺のうしろにエルシドが乗ってきた。
俺の背中にあたる、エルシドの大きくて柔らかい胸の感触が気持ちよくて、ドキドキしてしまうな。
密着したまま、エルシドが優しく乗馬のコツを教えてくれて、1時間もする頃には、だいぶ上手くなった。
俺たちは一度馬から降りて、今度は、先ほどと逆に、エルシドが前で、俺が後ろに乗ることにした。
すでに馬に乗ったエルシドが、馬をなだめている間に、俺がエルシドを抱くように、馬に乗った。
今度は逆に、俺の前身でエルシドの背中の感触を感じる。エルシドの柔らかく、豊満な体は、すごく抱き心地がよい。といっても、エルシドは別に太っているわけではない。
その状態で、俺が馬を操る練習をして、さらに上達し、その後は、それぞれが別の馬に乗って、少し町の外を回ってきた。
乗馬コースとして手入れされた森や池、花畑など、景色のきれいな場所では、馬から降りて、エルシドとのんびりと風景を眺めて楽しみ、出発地点に帰ってきた。乗馬はこれで終わりにして、レストランに向かうことにしよう。
乗馬からの帰り道、昼食をどこで食べようかと、レストランを探しながら歩いていた時だった。
「昇さん、危ない!」
そう叫びながら、急に、エルシドが俺を押し倒し、俺にかぶさると、エルシドの背中に大きな木が直撃した。
「エルシド! 大丈夫か!?」
「はい、私は大丈夫です。それより、昇さんがご無事で良かったです」
俺は、すぐに木を持ち上げて、どかし、エルシドの背中を確認した。エルシドや俺を含め、戦闘中以外はみんな、普通の服を着ていて、気も抜いているから、いくらエルシドでも、無傷では済まないだろう。
案の定、エルシドの背中には大きなあざが出来ていて、枝や木の皮が刺さって、かなり血が出ている。俺は、すぐにエルシドに回復魔法を使った。