表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/116

第105話  

 イールが帰ってきた日の三日後、鍛錬の合間に、自分の部屋でみんなと昼食を食べていた時、めずらしいことに、イールが俺の部屋に興奮した様子で入ってきた。


「昇君! 

君が召喚したという3人の芸術家の女性たちのことなんだが、彼女たちの芸術は素晴らしい! 

西方世界にはない独特な芸術で、レベルも高い! 

実は僕は芸術には少しばかりうるさいたちで、審美眼にも自信があるんだ。

そして、芸術の世界にも金持ちの上流階級にも顔が利く。

僕が彼女たちをプロディースすれば、すぐにでも人気になるはずだ! 

どうだろうか? 彼女たちの売り出し方など、僕に任せてもらえないだろうか? 

もちろん、僕も利益の数割をもらうが、それでも君たちのもとに入るお金は、

僕に任せてくれた方が何百倍にも増えるはずだ。

ローラリンに納める税金など、面倒なことは僕の部下たちがやるから、

君は何もしなくていい。どうだい? 悪い話ではないだろう?」


 なるほど。確かに、俺は芸術の世界にコネがないし、この手のことは玄人にまかせるしかないな。


 どんなに素晴らしい芸術も、知られなければ価値は生まれない。そして、俺には広告のノウハウがない。


 少し考えたが、俺は基本的にイールのことは信用しているし、彼女たちの売り出し方などは、イールに全面的に任せることにした。


 イールは、芸術に関しては享受するだけではなく、自らも絵を描いたり、楽器を演奏したりするらしく、特にホクサイのことを気に入ったようで、俺がホクサイに絵を習うときは、イールも参加することになった。


 そうして、1週間ほど過ぎて、イールとは話す機会が多くなり、徐々に仲良くなっていった。


 この世界の勉強も始めて、俺は文武を高めるため、鍛錬の日々を過ごしていた。


 ローラリン皇帝と光魔法の稽古をしている時、ローラリン皇帝から、イールへの説得を頼まれた。


 なんでも、ジャラカンダ国奪還作戦が予定よりもうまく進んでいないらしく、イールの国から精鋭を派兵してもらいたいらしい。


 皇帝から言うと、命令として受け取られてしまうかもしれないから、俺から、お願いするという形をとってもらいたい、とのことだった。


 アレクやリョフがいくら優秀だといっても、アレクは、各国から集まった兵士を率いて、リョフは、各地の傭兵を率いるという、いわば即席の部隊だからな。中将が率いるローラリンの正規軍もいるとはいえ、上手くいかないのも無理はないだろう。


 皇帝の頼みを承知して、イールの部屋に行き、そのことをイールに話した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ