第102話 カナーサ王国 八
「守るための位置交換!」」
守るための位置交換を使い、エルシドが、重力を強める霧にとらわれてしまった俺と、場所を交換してくれた。
戦っている最中に、再び俺が重力を強める霧にとらわれてしまった場合は、守るための位置交換を使うと、エルシドから提案してくれていたのだ。
エルシドのおかげで重力を強める霧から抜け出せた俺は、奴に向かってダッシュした。
奴がエルシドに攻撃を仕掛ける前に間に合い、俺がほぼ一方的に連続でパンチを打ち、そのほとんどが奴にクリーンヒットした。さらに俺はどとうのパンチの連打を続けた。
……おかしい。二回目の重力を強める霧を使い、消耗しきっている奴を、100発ちかく殴っているのに、奴はたいしてダメージを負っていない。
どうやら、窮地に陥ったことで、パンチを受ける瞬間、つまり、奴の身体に俺の拳が当たった瞬間に、俺の拳の重力を一瞬、ゼロなりマイナスにするという、高等技術を新たに身に着けたのだろう。
魔力も体力も消耗しているのに、奴の目はあきらめていない。
そして、戦いながら戦闘技術を高める奴のことだ。戦闘を長引かせてしまうと、何が起こるか分からない。早めにけりをつけなくては。
「雷槍!」
奴の身体を、超高速で飛んできた雷の槍が貫いた。俺が奴に隙が出来たタイミングを、エルフィーにテレパシーで知らせ、エルフィーが上級魔法を放ったのだ。
「ぐわあああああ!」
バカな! この戦闘中に、シースの強化歌を受けながら、ずっと魔力を高め続けていたエルフィーの雷槍が直撃して即死しないだと!?
やはり、このネコマタ魔人は、今確実に殺しておかないと危険だ!