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君だけはそのままでいて

作者: 神戸院花徒

光差し込むカーテンの隙間

今日は懐かしい匂いがする


上の空のまま

気付けば僕は立派な大人のフリを演じてる


空が青くて広いことを思い出した

久しぶりの休日

忘れていた何かが脳裏をよぎる


目を閉じればいつもの暗く狭い部屋


でも窓を開ければもしかしたら

綺麗な景色が広がっているかもしれない


青い空とわたあめのような雲に抱かれて

七色の煌きのなかで

もういちど君と出会えたら

次はもっと強く君の手を握りたい


何度も目を逸らしているうちに

日は暮れて

夜になり

君は見えなくなっていた


「おはよう」

一度は聴きなれた声が

古びたテープが再生するように

色あせた輪郭で繰り返される


長い間恋しくて

寂しい思いをし続けたけど

不運にも僕は寂しさを紛らわす方法なんて

くだらないものをたくさん手に入れてしまった


打たれ強さを手に入れるたび

何もかもが自由に感じたあの頃よりも難しくなっていく


同じ景色なのに

雲ひとつ無い晴れ空なのに

なんて狭く暗いんだろう


羽を失った日から

うずくまって

道の隅で何度も休憩しながら

少し進んで引き返して


不器用な僕はいつも手ぶらで

立ち向かうつもりでいる

悪魔の微笑みに平気になるのは難しい


私はそっと(こぶし)を握り締める

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