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告白ゲーム  作者: 水溜まり
第一章『腹黒姫と腹黒王子』
7/23

7. 腹黒王子と攻防戦

手を思いっきり振り上げる。

だけどその手は目的の人物までには届かなく、途中でパシン、と彼の腕によって防がれてしまう。

だけどそれを強引に振りほどきまた振り上げる。




「あっぶないなぁ」



「…っここは黙って受け止めなさいよ!!!」



「嫌だよ。当たったら痛いじゃない」



「それ位の事してるんだから当然だよ!!」




気づいたらお互い取っ組み合いみたいな形で攻防戦を繰り広げている。

取っ組み合いと言っても片方はヒラリヒラリ、と交わしているだけに見えるが。




「だいったいね!キスする必要なんて…!どこにも…ない、でしょ!?」




息があがる。

こちらの平手打ちをスカスカとかわされ、それでも何度も何度も当てようと振り上げる腕が悲鳴をあげている。

思いっきり振り上げてるから普段の何倍も筋肉を使っていた。


だがそれも虚しく相も変わらず攻防戦は彼の方が優勢な立場である。



あまりの当たらなさにギリギリと奥歯を噛み締めれば三浦くんはニンマリ笑っているだけ。

さっきから余裕そうな顔をしているのに対して腹が煮えくり返る。

いや、実際に余裕そうなのではなく、余裕なのだろう。


非常に不愉快な話だ。




何度も振り上げていた所為でとうとう腕に力が入らなくなってきた。

それを狙っていたのか三浦くんは避けるのを止めて腕を捕らえる。




「可愛いけどもう遊びは終わりにしようか」



「……っっ」




腕をグイッと引き寄せられ腰に彼の手が回る。

振りほどきたいけど大きく上がっている息を整えるのと痺れた腕の力が戻るのにまだまだ時間が必要で抵抗することが出来ない。




そしてまた人生3回目のキスと本日2回目のべろちゅーを許してしまった。





「ふ…ハァ…ん…」




ピチャピチャと厭らしい水音が耳に入れば、腕にブワッと鳥肌が立つ。

-虫唾が走る。

実際気持ち悪さから胃液がこみ上げ、口の中が酸っぱい。


ファーストキスがレモンの味、なんて一体誰が言ったのか。

ある意味酸っぱいのは当たっているけどレモンとは似ても似つかない。



体に力が入らないのに頭の中の思考能力は動いているらしく、我ながら何を考えているんだか。と失笑してしまう。


だけど口から漏れたのは耳障りな水音と、出したくもない自分の吐息だけだった。

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