31:pecca fortiter
「雨……」
エリアスは、窓の外を見る。暗雲蔓延る空は、明日の行方も知れない暗闇。耳を澄ませば彼方から、此方から……人の悲鳴が聞こえてくるよう。
《もう起きて良いのか次期ディスブルー?》
「うん、平気……ありがとう」
空き家で身を起こしたエリアスの傍には土の精霊。現れた彼は、付き合いの浅い僕のことを、本当に心配そうな顔で見る。そんな様子にある男の事を思い出し、エリアスは苦笑。
(フォース……)
この精霊も彼も黒髪だ。彼の方が薄いの灰だけど。
「フォースって、格好良いよね」
《そう、だろうか?》
土の精霊は神妙な顔で固まった。彼はしばらくフォースと組んでいたはずなのに、彼の格好いいところを一度も見られなかったのか。
「うん、格好いいよ。最初会った時は真っ黒だから暗殺者かと思ったけど」
《なるほど、お前は聡明らしい》
タロックの忍者っていうのかと思った。僕を殺しに来たのかと思った。でもそうじゃなかった。
(フォースは僕を、助けてくれた)
あの部屋から連れ出してくれた。だから僕はアルムちゃんに出会えた。全部全部、フォースのお陰だ。
《お前は……精霊使いに向いているかもしれないな》
「精霊使い?」
《我々、元素に好かれそうな数値をしている。そう言っただけだ》
「えっと……」
《お前の数値は心地良い。それは多くの人間にとってもそうなのだろう》
よく分からないけど、褒めて貰っているみたい。僕ははにかみ頭を下げる。
「ありがとう」
《ふん……》
「そういえば、エーさんはどうしてさっき隠れてたの?」
この精霊は、恥ずかしがり屋なのだろうか?そう思い尋ねると、予想とは違う答えが返る。
《あの男達は血生臭い。おまけに剣だ。あんな空気、土属性の我は吸いたくない》
「土と、剣?」
《風と土ということだ》
「仲、悪いの?」
《ああ、最悪だ》
「でもフォースは、みんなと仲良くやれているよ?僕とは違って……」
《そうさせている元凶を、あれは追いかけたのだろう。いや……あれは違うか》
「えっと……」
《エリアス、お前は成長を何と心得る?》
「ええと……前進?」
《しかし時にそれは退化だ》
「退、化……」
《そしてフォースのような物にとっては……停滞》
「停滞?」
《ああ。停滞だ。どう思うエリアス=ディスブルー》
変わらぬ事。それは善か悪かと彼は問う。
《周りが前進する。だからあれも前へ前へと進みたがり、空回る》
結果何も守れない。フォースを弱いと精霊は言う。
「でも、フォースは弱くないよ」
《ああ、それも真実だ》
変わらないこと、その善悪はさておき、それは罪ではないと彼は頷く。不変とは時に弱さで、時に強さ。
《あれを仕えさせてもお前の境遇が目覚ましく変わることはないだろう。しかし、今日と変わらぬ平穏は約束される》
「そっか……いいなぁ。早く、帰ってこないかな……フォース、アルムちゃん」
信じている。信じているんだ。あの日壁を打ち壊し、君が現れたように。もう一度……一人きりの部屋から、君が僕を連れ出してくれることを。
あれから僕の病気は回復して来た。日常が変わり始める。今度は何が変わるのだろう。変わらない、君と一緒に。
(ううん……今度は)
僕が今度は。僕が変わりたい。変えたいことが沢山ある。それから……
「きっと、フォースも変わっていくよ」
僕が変える。いつも辛そうな目をしている彼を、僕が救ってあげる。救ってみせる。助けてあげたいんだ。
悪いことをした人だって、いつかは笑って良いはずなんだ。一杯反省して、償って……良いことをしたなら。そうしたら、誰かがその人を許してあげなきゃ。もう良いんだよって。
辺境伯って一つの島を任せられた王様のようなもの。王様の心構えはなぁに?考えたんだ。小さな頭で、馬鹿な僕も。
(僕も、強くならないと)
何があっても受け止める。受け入れる。その上で笑って許してあげられる人間に。身近な罪深い人々のために、僕は巡り巡って許しを与える。彼らにとって優しい世界を作るため、僕は痛みを背負うんだ。
(ねぇ、フォース……)
それでも痛いのは辛いし、苦しいから。傍にいて欲しいんだ。アルムちゃんの前では強がって、格好付けて弱音を吐けないかもしれない。だから、僕にはフォースも必要。僕の弱さを、君だけには許して欲しいんだ。君がしてきたこと、これからすること。どんなことでも僕は全部許して微笑んであげる。
(フォースは悪くないよ。悪かったとしても悪くないよ。それは全部僕が悪いんだから)
*
(リフルさん……リフルさんっ!!)
待ってて、今すぐ行くから。今度は俺が、貴方を守るから。
俺はいつも、貴方に助けられて来た。貴方だけじゃない。ラハイアさんにも。彼だけでもない。トーラに、ロセッタに。エリスに、コルニクスに。そう言えば、アスカに助けられたこともある。
じゃあ俺は誰を助けただろう?多分誰も助けられていない。俺は何の恩も返せていない。俺は罪を犯した。それなのにいつも……誰かに甘えて、守られて……子供みたいな顔をしていた。格好悪いなと思ったんだ。
貴方より背が伸びた。大人になったつもりでいた。それなのに俺は……俺より小さくて細くて頼りない貴方とトーラに……甘えていた。守られていた。
俺はトーラに恩を返せないままだった。傍にいれば守れたかな?解らない。俺よりトーラの方が強いもん。無理だったかも知れない。だけど……説得は出来たかもしれないんだ。相手はアスカだ。俺の知るアスカなら。
トーラでも勝てなかったアスカを、俺にどうにか出来るだろうか。解らないけどリフルさんのためなら俺は頑張る。俺一人じゃないんだ。俺のカードには、ラハイアさんがくれた幸福値が宿ってる。同じ事は出来ないけど、あの人がやり残したことも俺は果たす義務がある。リフルさんは、死なせられない。
(……なんて夢中になっていたのが悪いのか)
格好良くピンチに登場なんて俺には荷が重かった。数術反応の起こったという方向に向かって進んでいたのだが、道を間違えたのだろうか?全く違う方向から、凄まじい殺気を感じる。
「そこのお前!商人ではないな!」
「怪しい黒衣の男を発見!西の手の者か!!」
「うわあああ!」
屋根の上を移動していたのに、気付かれた。下の路地から矢やら槍やら鉛玉が飛んでくる。エルツを置いてきたのが不味かったか。
しかし何だって、こんなに混血狩りがいる。西で随分死んだはずだ。戻ってきたとは思えない。それなら最初から東に潜伏していた者がいる?
敵の攻撃をかわしながら屋根を移動する俺は、勢いよく見えない壁にぶつかった。バランスを崩して落下しそうになったその時、見えない何かに手を掴まれる。
「うわっ!」
しかし俺が驚き手を引っ込めたことで、見えない何かと共に俺は路地へと落下した。
「痛ぇ……」
「何すんのよ馬鹿」
「怪我は無いか、二人とも」
「その声……リフルさん!!それからロセッタ!」
助けるつもりがまた、助けられるなんて俺は心底情けない。俺は俯き嘆息だ。
(さっきぶつかった壁はロセッタだったんだな)
ロセッタは、落下しながらもリフルさんをキャッチしている。彼を運んだまま移動していたのだろう。見れば、リフルさんの怪我が酷い。これもアスカの仕業なのだろうか?
俺がリフルさんばかり見ているのが気に入らないのか、ロセッタは少し不機嫌そうに……
「おまけみたいに言うとか何よ。私が初恋らしいフォース君」
「そ、それをリフルさんの前で言うな!!」
「そうなのか?」
「ご、誤解ですリフルさん!!……あ!」
謝ってから顔を上げ、正面から恩人の顔を見た。そして違和感と、自分の役目を思い出す。
「リフルさん、これ……」
「これは……私の目か」
「はい、片方だけですけど」
「そうか、ありがとう……」
俺の渡した硝子ケース。それを受け取ったものの、リフルさんは黙り込む。
安全対策の数術の中にロセッタは俺も組み込んでくれたのか、追っ手は撒けた。しかしここも安全とは限らない。耳を澄ませ、鼻を啜って雨以外の水音、土の匂いを感じ取る。俺はダイヤのカードなんだから、気合い入れれば土の元素が解るはず。辺りをきょろきょろ見回せば、幸い近場にマンホールがある。ひとまず身を隠すにはもってこい。
「リフルさん、ひとまずこっちに。ロセッタ、頼む」
「女の子に力仕事させるとかあんたそれでも付いてんの?」
「後天性混血に女の子ぶられても……」
「っち」
ロセッタに睨まれたが、その下は地下水路への道だった。勿論この先が封鎖されていて出口はないのかもしれないが、その時はロセッタの力業で何とかしてもらおう。
雨のために水量が増えているのが心配だが、下まで降りずとも梯子の途中に奥まった部屋があり、身を休められそうなスペースがあった。教会兵器に電気を纏わせ先導していたロセッタは、そこに銃を灯りとして置いた。
「リフル……あんた、あいつに会いに行くって言ってたわね?」
「……ああ」
「でも、よく考えれば今のままじゃ駄目。丁度いいところにフォースが来てくれたわ」
二人の会話はシリアスムード。割り込むのには気が引けた。それでも聞きたいことがある。
「リフルさん、その目……ラハイアさんの、ですよね?」
「……よく、解ったな」
「解りますよ」
リフルさんの今の瞳は左右が全く別の色。彼の物を移植されたのだろう。それが躊躇いに繋がっている?
「解ってると思うけど、あんたはあんたの目を無くしたからって完全に魅了能力を失うわけじゃない」
「ああ」
「でも今のままじゃ、あんたは弱体化する。中途半端な魅了能力では毒の力を完全に発揮は出来ない。私の弾でも視覚数術は出来なくはないけど、あいつ程じゃない。視覚ブースト持ちのトーラがいない今、そのままでいるのは危険よ。片目だけでも、ううん……早いところ両目を取り戻して元に戻すべき。解ってるわね?」
「ああ……」
「ちょっと待てよ。リフルさん、今目が自分のじゃないのにアスカがおかしくなったんだろ?それなのに元に戻して……大丈夫なのか?」
「むしろ目がないからおかしくなったのよ。俺の大事なリフルを傷物にしやがってって暴走したわけ」
でも元に戻したからって安全とは限らない。ロセッタの表情はそう言っていた。
「今、アスカは……?」
「ひとまず正気に返ったわ。それでロイルと蹴りを付けに」
「ロイルさんと……」
顔見知りと顔見知りが戦う、そんな話を聞くのは気が重い。どちらにも世話になったことがあるのだ俺は。二年前の恩を俺は、結局ロイルさんとリィナさんには返せないんだな。二人に手伝って貰って見つけたパームも今は……。そう思うと、無性にエリスに会いたい。あいつの笑顔を見たかった。
「オルクスも……憎いことをする」
リフルさんがふぅと息を吐き俯いた。
「目が……温かいんだ。まだ……彼が生きているような気がする。彼が受け継いだ遺志を、更に私が。そんな風に思いたいのは……やはり逃げなのだろうな」
この眼を手放したくない。そう思うのは弱さ。この人が戦って行くには、邪眼が必要だ。それは彼も知っている。
「アスカはもう、取り返しの付かないところまで来ている。かくなる上は……私が私の目を取り戻し、完全に支配し制御下に置かなければならない」
「人身御供になるつもり?」
「ひ、人身御供って……?」
「あいつが暴走しないように、あいつの望むように満足させてあげるって事でしょ」
アスカの望むこと?いまいち想像出来ない。でも独占欲が強そうだから、誰もリフルさんには会えなくなったりして。そういうのは嫌だなぁ。
「……そうじゃない。それは失敗したらの話だ」
「失敗って、どういうことですか?」
「邪眼は二種類あってな……一応制御できるようになったんだ。フォース……おいで」
「はい!」
「やっぱり待て」
「うっ!」
「動いても良いぞ?」
おかしい、身体の動きが鈍い。いつもと違う色の瞳で見つめられ、身体の自由が奪われる。それでも思いきり抗えば僅かに動く。
「な、何ですか……これ」
「魅了した相手の動きを止める技だ。正確には魅了ではなく恐怖か。これは元の目ならばアスカにも効くから、……戻さなければな」
「でも、片目じゃ心許ない。両目が戻るまでは会えないわね」
「そっか。治療するにも俺達じゃ無理だし、ここに洛叉とかがいればなぁ……」
「ふっふっふ!」
「だ、誰!?」
現れたのは長い黒髪の少女。暗闇に光るのは、深い青色の瞳。一件純血に見えるが、よくよく考えればその組み合わせの配色はない。彼女は混血だ。
(でも、綺麗……)
黒髪は王族のように立派な漆黒、目の青だってカーネフェルの立派な血筋が持っていそうな程深い。
「話は聞かせて貰いましたよ、ソフィア」
「その陰湿な笑い声……№15!メディア……なんであんたが」
「神子様からのご命令でセネトレア入りしましたの。つきましては那由多殿下に一つご相談が」
外見はお淑やかそうなその少女、すすすと此方に近づいてリフルさんに跪く。
「お初お目に掛かります、那由多王子、そして配下の方。私はシャトランジア聖教会が運命の輪№15、ノーチェ=メディアノクス」
「あ、ああ……初めまして」
跪かれても元々リフルさんも座っていたので目の高さが合うだけだ。その平等、対等な視線上で、彼女が差し出すは硝子ケース。そこにはリフルさんのもう片方の眼球が収められていた。
「メディア!あんたそれどこで!!」
「アスカニオス様からすりましたの」
おほほと小気味よく笑う彼女を、リフルさんは不安そうに見る。その意味に気付いたのか、彼女は少し上から目線で答えてみせた。
「ご心配いただかなくてもアスカ様は無事です。ロイル様を打ち倒し、相打ちになりかけていたところを教会で回復いたしました」
「……なんと礼を言ったら良いか。私の騎士を、どうもありがとう」
「礼には及びませんわ」
「そうよ、今の私達とあんたらは協力関係なんだし」
「ええ、なんたって私と彼は運命の赤い糸で結ばれていますから!」
「……え?」
「アスカニオス様が、好きなんです!だから彼を私に下さい!」
ロセッタのフォローをぶちこわすような、とんでも発言が聞こえた気がする。リフルさんも固まっている。ロセッタは頭を押さえ、メディアという女はうっとり頬を赤らめた。
「ごめんリフル……この女」
「那由多殿下改めリフル様!この目を差し上げますし治療は此方が引き受けます!その代わり……彼と私の交際を認めて下さい!!」
降って湧いたアスカのモテ期に俺もリフルさんも顔を引きつらせた。別にアスカが誰と突き合おうが付き合おうとどうでもいいし、嫉妬なんかないけど、唯純粋に驚いているのだ。あのアスカが女の子から好意を抱かれるなんてと。
いや、良く見たらリフルさんは俺とは違う感じで驚いている。
「リフルさん?」
「あのアスカが……老婆以外からモテるとは」
あ、やっぱり嫉妬とか無いんですか。そう思うと若干アスカが哀れに思える。
「あんた、瑠璃椿の頃はあんなにべったりだったくせに」
「瑠璃椿……?ロセッタ、二年前のリフルさん、そんなに知ってたか?」
「はぁ……いろいろあったのよ第四島で」
何故か一番苛ついているのはロセッタだった。
「ソフィア、貴女も他人事じゃありませんわ」
「はぁ?」
「これは私の趣味だけではなく、神子様からの命令なのです。邪眼の魅了を抑えるための」
「イグニス様、の?」
「ええ。要するにアスカ様には諦めさせれば良いのです」
「諦める……ねぇ」
ロセッタとリフルさんが見つめ合い、何か同じ死線を潜り抜けた同志のように、窶れた笑みを浮かべ合う。
「そんな簡単に諦めるような狂人なら、もうとっくに諦めてるわよあいつ」
「でも今回のことで彼は学んだはずです。自分の心よりももっと大事な物が在ると」
「大事なモノ?」
「ええ。それが何かおわかりですね?アスカ様はリフル様の自由意思には従います。これは先読みの神子様が保証します」
「自由意思?それと私がどう関係すんのよ」
苛立ちながらロセッタが聞く。
「つまりリフル様の自由意思で、ソフィアと恋人になって貰いたいのです」
さらっと答えたメディア。彼女の言葉を反芻し、ロセッタが顔を真っ赤にさせて狼狽える。
「だ、だだだだだ誰がこんな変態とっ!」
「そうだな、私のような変態が相手では、演技でもロセッタが可哀想だろう」
「なんでそういうこと言うのよ馬鹿!……って演技?」
「ええ演技。リフル様はお噂通りで助かりますわ。でもアスカ様を騙すほどの演技が必要です。二人は今回の戦いを通してさも恋が芽生えたようにいちゃついて貰いませんと」
狼狽えるロセッタの横で、リフルさんはいつものように淡々と。見ていて、ああと気がついた。ちょっと寂しい気もするが、リフルさんなら仕方ない。俺だってリフルさん好きになる気持ちは解る。それに……
(ロセッタ……面食いだもんな)
しかしトーラの手前、演技であっても認めたくない。リフルさんもそんな気持ちなのだろう。幾らアスカのため、アスカからみんなを守るためとは言え……トーラが死んだばかりなのに他の女の子といちゃつくなんて精神構造、リフルさんはしていない。していないと信じたい。
「仲間を失い傷ついた二人!残り僅かかもしれない人生!最後の恋に若い二人の心は燃え上がる!!傷心のアスカ様を私が頂いて本気にさせる!魅了邪眼もこれで効果を無くします!!素晴らしい策です!!」
「確かに策としては素晴らしいかも知れないが、それがどうして彼女でなければならないのだ?」
リフルさんがちらと俺に視線を向ける。最悪俺がその相手でもいいんじゃね?的視線だ。いや、それだと俺がアスカに殺される予感。いや、もはや確信。
「アルジーヌ様、リア様、トーラ様。これまでのパターンで、リフル様の思い人が女性の場合、アスカ様は強くは出られませんでした。貴方の幸せを思ってのことでしょう」
「私の個人情報は恐ろしいほど筒抜けだな。身内に情報でも売られたか?」
冗談めかしてリフルさんは笑う。トーラを疑っているのではなく、会ったこともない神子を訝しんでの言葉だろう。彼は信頼に足りるのかと。それには彼女は答えず、ロセッタを見た。
「リフル様。ソフィアはこの審判の中で死にます。最後のカードにはなれません。最後くらい、普通の女の子として幸せになっても良いのではないでしょうか?」
返事をしないリフルさんに痺れを斬らしたのか、大人しかった顔を歪めて彼女は怒鳴る。
「いえ、言い方を変えましょう!」
「やめなさいメディア!」
これには堪らずロセッタも仲裁に入ったが、彼女は止まらない。
「彼女の人生を狂わせた貴方には、償いの義務がある。このごっこ遊びに付き合う義務が」
「…………」
沈黙を守っていたリフルさんが、動く。その手をメディアに差し出して……己の眼球を求めた。
「交渉、成立だ」
タイトルは大胆に罪を犯せって意味らしい。
アスカがこれから持ち直そうとしてぶっ壊れていく様が、次章、正位置にどう繋がっていくかをうまく書いて行きたいです。