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第3話 喜劇の始まり
「陛下、宰相代理の方が素晴らしい改革案をお出しになりました!」
「ほう、そうか。で、その宰相代理って誰だ?」
「……陛下が任命されたのではないですか?」
「ああ、そうだったな。よく覚えてない」
こうして王国は奇妙な状態になった。
昼間は何もしない王様がのんびりし、夜になると謎の宰相代理が国政を改革する。
宮廷の人々は困惑した。
「王様は働かないのに、国がどんどん良くなっていく」
「宰相代理の正体は誰なんだ?」
「もしかして、王様が変装して……いや、そんなはずない。王様は昨日も宴会で『働くのは庶民のすることだ』と言ってました」
ある日、隣国からの脅迫状が届いた。
「領土をよこさなければ侵攻する」と。
廷臣たちが大慌てで王様に報告すると、アルフォンスはあくびを一つ。
「面倒だな。宰相代理に任せておけ」
その夜、宰相代理(一郎)は隣国への返信を作成した。
巧みな外交交渉術で、互恵条約を結び、侵攻の危機を逆に経済協力に変えてしまった。




