第1話:重力崩壊と青い境界線
大学生の湊は光の歪みを観測するために時空をゆがませる試作装置が軌道しきずいた鏡のように空を映し出す静かな水面に横たわっていた送られた世界には火水風土魔法のほか個性魔法を持つものがいる魔力は1億だが有限どうなるのだろうか...
大学の研究室。光の歪みを観測する実験の最中、計算外のエネルギーが空間を噛みちぎった。
湊:「まずい、離れろ!」
湊が叫んだ瞬間、視界は漆黒に染まった。
……。
…………。
気づけば、鏡のように空を映し出す水面がどこまでも続く、境界の曖昧な世界に立っていた。目の前には、内側から青く発光する幾何学的なクリスタルが浮いている。
ナビ:「目覚めましたか。私はこの世界の旧統治システム・ナビゲーターです」
湊:「ここ、は……?」
ナビ:「あなたの世界で言うところの異世界ですね。あなたの魂をこの世界に定着させる際、一つの制約がつきました。あなたの魔力は現在『一億』。不老の体を得ましたが、この魔力をすべて使い切れば、あなたは即座に死にます」
寿命は減らないが、魔法を使うたびに「死」が近づく。湊——ミハイルは、自分の命の残量を数字で見せつけられることになった。
ナビ:「第2の人生、歩みますか?」
湊:「……救えるものがあるなら、行ってみるよ」
水面が激しく光り、次の瞬間、ミハイルは壮大な山の中に立っていた。
ナビ:「ミハイル。それがあなたの新しい姿です。……まあ、前世の残念な造形よりはマシな『中の中』に調整しておきましたよ。私に跪いて感謝しなさいな」
ミハイル:「ひどいな……。あ、そういえば僕、魔法は使えるのか?」
ナビ:「レベル1の現在は『1級』のみ。あ、そうそう。この世界では火・水・風・土の四元素魔法は誰もが使えますが、あなたには無理ですよ(笑)」
ミハイル:「えっ!? 全員使えるのが使えないのか?」
ナビ:「ええ。その代わり、あなたには唯一無二の『光』と、固有魔法の『ヒール』があります。あなたのヒールは誰でも使えるものとは違い、特別なバフがかかる別物です。百人に一人程度の固有魔法持ちとして、精々死なないように励むことです」
ナビゲーターの声はどこか楽しげだ。
ナビ:「さあ、まずは町を目指しましょう。一番近いのは宿場町リフレイン。高い壁で囲われていて安全ですよ。不審者であるあなたも、あの壁の中にさえ入れば外敵に襲われる心配はありませんから」
ミハイルが重い足取りで歩き始めた直後、街道から悲鳴と怒号が響いた。豪華な装飾の馬車が、武装した盗賊たちに囲まれている。
ナビ:「どうやら襲撃のようですね。ですが覚えておいてください。魔法を使うことは、自分の『命』を切り分けることと同じです」
ミハイル:「……わかってる。でも、見過ごせないんだ!」
ミハイルはフードを深く被り直し、走り出した。
ミハイル:「ナビ、防御魔法を!」
ナビ:「了解。自動防御1級を発動。魔力を10消費。残り:99,999,990」
キィィィィィンッ!
盗賊の振り下ろした剣が、ミハイルを包む光の壁に弾かれた。
盗賊:「なっ、なんだこのガキは!?」
地面には、瀕死の騎士が倒れていた。その向こうには、馬車の中で怯える少女の姿。
ナビ:「マスター、敵を鎮圧します。推奨1級魔法:『聖なる打撲』。魔力を20消費」
ミハイル:「……やって!」
空から、まばゆい光の柱が降り注いだ。
ドォォォォォン!!
圧倒的な質量を持った光が盗賊たちを地面に縫い付け、一瞬で無力化する。
ナビ:「対象の無力化を確認。1級広域治療魔法『エリア・ヒール』を展開。魔力を計60消費しました。残り:99,999,910」
ミハイルの手から溢れた光が、倒れていた騎士たちを包み込む。
騎士:「……傷が、消えていく……?」
騎士たちは驚愕して自分の手を見た。単なる治癒ではない。体中に漲るような活力——ミハイルの固有魔法による身体強化のバフが、彼らの疲弊した肉体を全盛期以上に研ぎ澄ませていた。
本来、1級魔法は小さな傷を塞ぐのがやっとだ。だが、ミハイルが「命」を削って放った光は、伝説の属性と相まって、世間の「4級(上級)」を遥かに凌駕する奇跡として現出した。
少女:「あ……ありがとうございます。お礼を、せめてお名前を……!」
馬車から降りてきた少女が、震える声で問いかける。その熱い視線に耐えきれなくなり、ミハイルは耳まで真っ赤にして後ずさった。
ミハイル:「あ、いや……ただの通りすがりの旅人ですから! 急いでるので!」
そのまま脱兎のごとく走り去るミハイル。
ナビ:「……おやおや。今の『ただの旅人です(キリッ)』という台詞。耳を真っ赤にして逃げる姿、もしかして中二病特有の酔いしれムーブですか?」
ミハイル:「違うってば! 恥ずかしいだけだ!」
ナビ:「はいはい。初期通貨を生成しました。魔力を10消費。残り:99,999,900。さあ、贅沢な人生の始まりですよ、」
ミハイル:「おい、勝手に寿命を削るなって……!」
夕暮れの街道を、ミハイルは文句を言いながら、でもどこか安心したように町へと急いだ。
初めての小説を書きましたあまりいい出来ではないですが応援していただくと幸いです。 読みやすいように調整していますので改善していい物語にしたいと思っています




