表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

泣いてもいいですか

作者: 空詩
掲載日:2026/01/16

僕は何度も瞬きしながら、占い館に近づいた。

「いらっしゃい…」

先生は僕の顔を見て少し驚いた表情になった。

「ここに座って。今お茶入れますね」


彼女は僕に何も聞かず、温かい紅茶を淹れた。

「僕、彼女に振られたんです」

「三年付き合って、来月プロポーズしようと思ってたのに、もう好きじゃなくなったって」

先生は静かに頷いた。


「復縁出来るか占って欲しいです…」

「…なるほど」

彼女はタロットカードをすぐには並べなかった。

「ねえ」先生が口を開いた。

「本当にそれ知りたい?」

「え?」

「復縁できるかではなくて、この痛みが消えるかを知りたいんじゃない?」


僕は戸惑い言葉が出なかった。


彼女は目の前のタロットカードを1枚引いた。

「死神」

「え、最悪じゃないですか…」僕は視線を落とした。

「ううん」

「死神は終わりのカード。でも同時に始まりのカードでもある」

「始まりですか…」

「この痛みはいつか消える。そして新しい何かが始まる」

彼女は僕の目を見た。

涙が溢れてきた。

「泣いてもいいですか」

「もちろん」

先生はティッシュの箱を差し出してくれた。

僕は子供みたいに泣いた。気づいたら外は暗くなっていた。


「すみません、こんなに長く居て…」

「大丈夫」

彼女は笑った。

「占い館は、未来を見る場所でもあるけど、今を休むする場所でもあるから」


僕は心がホッとした。

痛みは消えていない。彼女への想いもまだある。

だけど少しだけ前を向けた気がした。


帰り際、タロットカードを渡してくれた。

「死神」のカード。

裏にメモが貼ってあった。

「終わりはいつでも始まり。また来てね」


僕は空を見上げた。星が、いつもより近くに見えた。

読んでいただきありがとうございます。

他にも短編を投稿しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ