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友達  作者: らすく
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4話 昨晩は何かを振り返る夢を見た気がする

 「え?な、何があったんだ?」

 それは極めて退廃的な生活を送っている自分に取っては、正に青天の霹靂とも呼べるのものであった。

 「僕のいる会社に入ってくれないか。」

 「は?」

 これはどう言うことなのだろか。俺は大学を卒業出来ずに立ち止まっている人間だ。こんなどうしようもないやつに何が出来るというのだろうか。


 「何で俺なんだ?俺は何の特技を持っていないし第一、大学を留年しているんだぞ。関わってもろくなことがないぞ。」

 我ながら正論をはいた、と思う。それと同時に自分自身の値打ちの無さを自ら吐露したと思うと、真に情けないことこの上無いのであった。そして彼の反応はどうかと言うと・・・。

 「君じゃないと駄目なんだ。今、僕がいる会社は、僕の顔色を伺う人間ばかりだ。これも僕が社長の息子であるからだ。だか君は違う。損得抜きで付き合える相手なんだ。」

 そう言った彼の眼は真っ直ぐに自分の顔に見詰めていました。

 そのとき俺は心底救われた気持ちになった。まだこの自分を必要としてくれている人間がいるとは・・・・。

 だから俺は友人の提案を受け入れた。彼の元に入社するのだ。そして期待に応える働きをする。それが今の自分に残された選択肢であり、最高の結果も期待できる道なのだ。

 腹はくくった。

 結論をだした俺はベッドに横たわり、安心感もあるのだろうからすぐに眠りに就いた。

 だがまだその事には、気がついていないだけなのであった。それが自分の勝手な思い込みであるという事を・・・。


 

 ~~~~~ 新幹線が停車した ~~~~~

 「ふう。」

 都会の汚れたものとは、全く違う透き通った綺麗な空気だ。

 久々に故郷に帰ってきた。

 もう大学留年の身では無いのだ。最も大学は中退する事になるのであるが・・・。

 しかし自分は大企業の社員になれるのである。友人から期待もされている。

 堂々と俺は街を歩けるのだ。

 ~~~~~ いつも通っていたラーメン屋だ ~~~~~

 俺はズルズルとラーメンをすする。

 これだこの味を思い出したのだ。とても美味しいのだ。俺はラーメンの味を懐かしみながら、故郷の雰囲気も懐かしんでいた。

 ===== ズルズル =====

 (ん?)

 何だか俺の目の前でもラーメンをすする音が聞こえてきた。明らかに至近距離である。

 まさか相席なのだろうか。いつに間にそうなったのであろうか。気が付かなかった。

 というか、勝手に人のテーブルに座るな、と思った。しかし驚くべきはそれでは無かったのである。

 ===== ハッ =====

 そこには二人が相席していた。

 しかし何故・・・・。

 彼らはあの時と同じ服装だった。気が付くと、このオレも・・・。学生服だった。

 「あのさあ。」

 彼女が話を切り出した。脚を組んでいる。その組み方は決してレディーの上品なものではなく、あくまでもガサツなものであった。そう・・・・。コイツはガサツ女だったのだ。本当に気にしない。こんなんではパンツが見えそうだ・・・。

 「俺は東京の大学に行こうかと思っている。」

 「は?」

 聞かれたわけでもないのにオレが急に進路について述べたので、彼女は戸惑っていた。

 だが俺には分かっていたのだ。この場で俺達がそれぞれの進路を話題に出すことを・・・。

 「私はさ。看護学校に行くつもりさ。」

 それも分かっている。このガサツ女は多分、いい看護師になるであろう。

 (そしてこいつも・・・。)

 左を見るとメガネの男が、一人黙々とラーメンをすすっていた。とても寡黙な男だが、何のかんの言って、こいつもコンピュータの仕事に上手く従事するようになるだろう。

 そしてこのオレも・・・。

 「・・・・。」

 (・・・・!)

 思いもよらない事に、俺は動揺した。それはガサツ女が、ガサツでなくなった瞬間だったからである。

 テーブルをはさんだ俺の目の前で、彼女は涙を流してセーラー服を濡らしていたのだった。


 

 ~~~~~ 昨晩は何かを振り返る夢を見た気がする ~~~~~


 さあ今日はちゃんと早起きしないと。

 この日に俺はスーツも仕立ててもらい、理髪店でスタイルも整えたのだ。やる気はある。他ならぬ友人の頼みなのだ。そしてこれは自分自身の為でもあるのだ。

 髪型を整えスーツに身を包んだ俺は、革靴を靴ベラで履きこみアパートを出たのでった。

 これが通勤ラッシュというやつか。

 だが押し合い圧し合い大変だが、何のそのなのだ。

 今日からこの俺は生まれ変わるのだ。

 そして目的地のビルディングの前に立った。聳え立つビルを見上げて俺は思った。

 恐らくこれが自分の人生におけるラストチャンスであろう。

 そして採用面接以来、2回目の訪問となった。

 見るからに日々の清掃が行き届いてそうな自動ドアが速やかに開く。

 時間はゆっくりと待ってはくれないのである。

 (あっ。)

 思わず心の中で驚きの声を漏らしてしまった。

 果たしてそこには彼が立っていた。

                                < 続く >

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