1/33
プロローグ『俺の上に舞い降りた天使』
「あっ、あぶない!」
清らかで澄んだ女性の声が街中に響いた。
俺は頭上に飛び込んできた影を咄嗟に受けとめようとした。
「きゃっ、ごめんなさい!」
その瞬間、俺の体にずしんと重みがかかる。
気づけば、目の前の少女に押し倒されていた。ブロンドの髪がふわりと揺れ、琥珀色の瞳が真剣な光を放つ。透き通るような白い肌、そして神官服――まるで絵画から飛び出した天使が目の前に降り立ったかのようだ。
「す、すみません……その、わたしと……結婚してください!」
俺の上で少女が真剣な表情で告げる。
まさか、平凡な日々を送っていた俺が、異世界で天使のような美少女に押し倒されて求婚されるなんて――。
一ノ瀬直人の奇妙な異世界生活は、今、波乱の幕を開けたのだった。