表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/53

4

「彼はね、捜索願いを出されていた子供なんだ。何の間違いか、奴隷として生活していたようだが、本来なら然るべきところで暮らせる人間なんだよ」


「……お父様」


父親の説明はカトレアにはどうでもいいことだった。


「…それは、クロ自身が望んだ道なのよね?」


カトレアにとって大事なことは、それがクロが選んだ選択肢であること。それだけだった。


奴隷として出会った少年。カトレアの意思で屋敷に引き取り、留めるために家出までした。そこにはクロの意志はない。


「ああ、彼は自ら騎士たちのもとに行ったよ」


「そう、ならいいわ」


クロが決めたことだ。自分がとやかく言う必要はない。カトレアに寂しさや戸惑いはなかった。


「…それでこそ、私の娘だ、カトレア。君はしばらく見ない間に立派なレディになったようだね」


「当然でしょう、お父様。私はタンザナイト家の一人娘なのよ!」


「ああ、その通りだね。カトレア、久しぶりにもっとお前の顔を見せておくれ」


「お父様ったら、本当に寂しがりやなのね」


カトレアは笑って、父親に抱きついた。懐かしい香りが鼻を掠める。


「ああ、寂しがりやで甘えたがりな父を許してくれ、カトレア…」


カトレアがどんな表情をしているのか、父親の体に覆われているため見えない。


2人はしばらくの間ずっと、抱き合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ