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父の話を聞いたカトレアは全てを飲み込むのに時間がかかった。
まず、ここは父親が滞在する港町にある病院の一室。カトレアはここに運ばれて一日中、眠りについてたらしい。
カトレアをここまで運んで、父親に連絡したのは驚くことに例の川辺で会った騎士たちだった。
2度目の床下収納を開けたのは、悪人ではなく騎士たちで。子供2人が気絶状態で発見されたため騎士たちは大騒ぎだったらしいと父親は語る。
2人は騎士たちに助けられたのだ。それも全ての偶然が重なって。
まず彼らは調査を切り上げて港町に戻る途中、やけに騒がしい民宿を不審に思い、足を止めた。外から様子を伺ってると、刃物を持った中年の男と女が宿から飛び出したため、あわてて取り押さえたようだ。
そこから先は、騎士たちの手腕で女たちに自白させ、見事お縄につけることになり、一件落着、思わぬぼた餅になったかに見えたが…そこで問題が発生。
なんと川辺で出会った馬車の御者が「お嬢様たちが見つからないんです!」と泣きついてくるではないか。
騎士たちも総出で探し回ったが、どこにも子供の影はない。そして数時間の捜索の末、ようやくーーー
「君と君の友人が隠れている床下収納に辿り着いたわけさ。カトレア、君はかくれんぼの才能があるようだね、私は知らなかったよ」
父親は何故か、ウインクを投げかける。
「……はは」
父親のお茶目な姿に思わず乾いた笑いが出る。それはあの時の恐怖心や緊張感が全て解けた証拠でもあった。