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きな臭いな、とクロは思った。それは直感。今まで悪い大人達に酷い目に遭わされたクロは、人の下心や悪意に敏感だ。


「クロ、どうしたの。眉間に皺を寄せちゃって。せっかくの綺麗な顔が台無しよ」


カトレアには警戒心が足りない。悪人に対する嫌悪は強く持ってるが、いかんせん真っ直ぐに育った種類の人間のため基本的に他人に疑いの目を向けたりしない。


そこでクロは違和感に気づいた。


「……しっ」


突然、クロは人差し指を口に寄せる。その行為の意味は“静かに”。カトレアは思わず両手で口を包み、コクコクと頷いた。


静寂が訪れる。


クロは一体どうしたのだろう。カトレアは首を傾げながら、静止するクロを見つめた。


「……」


おかしい。何も聞こえない。不自然だ。

ロビーから遠い角部屋にわざわざ案内したのだから、てっきり他の部屋に宿泊者がいるのだろうと、クロは最初そう思っていた。宿屋の女性は「ちょうど部屋の空きがでた」と言っていたからだ。とすれば、満室に近い状況だとしてもおかしくない。


なのに何故、人の気配も、声も聞こえない?


小綺麗だが、建物自体は木造造りで古い。完全防音なはずがない。しかし、入り口から今まで一度も他の足音も聞こえず、人とすれ違ってすらいないのだ。


「…………」


クロは試しに隣の部屋に面する壁に耳を澄ませた。


……ヒソヒソ


本当に僅かだが、誰かの話し声が聞こえた。

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