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ブティック・ブリリオ

街中の端に店を構える「ブティック・ブリリオ」の女店主は腕はいいが、性格に難があることで有名だった。商品は完全オーダーメイドの一点モノ。しかし取引ができるのは女店主が認めた人間のみ。コレクターや目立ちたがりの富裕層もお忍びで店を訪れたが門前払いされると噂されていた。


そんな店に子供の影が2人。


「事情は分かったけど…何でここに来たんだい?」


妖艶な見た目とは裏腹にしわがれた声で子供を見下ろす女店主。気難しそうな店主は意外にも2人の子供を店内に招き入れた。


「もちろん、前にオーダーしたクロの服を受け取りに来たのよ。お父様に会うからきちんとした服を着ないとね」


どのようにして女店主のお眼鏡にかなったのか。少女カトレアはこの店の数少ない客人だった。


「なら手間が省けたね、頼まれたものは丁度出来上がってるよ。明日にでも屋敷に送ろうと思ってたのさ。ほら」


衣服の入った袋を無造作にカトレアに投げつける。大事な商品にしては雑な扱いではないか、そう不満を漏らすと、店主はニヤリと笑った。


「作るまでが私の仕事。作品が完成した時点で私の仕事は終了なのさ。さ、早く着替えなよ」


分かるようで全く分からない言い訳をしながら、店主は店内の隅のカーテンで区切られたスペースを指差した。服屋とは思えないほど狭く簡素な空間ではあるが一応試着室はあるらしい。


「クロ、着替えておいで」


服を渡されたクロは試着室でいそいそと着替えを始める。


「…衣食住の提供をして、おまけに父親の許可までとりに行くなんて本当にペットのようだね」


女店主の呟きにカトレアはムッとした表情で睨んだ。


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