▽戦い.新たな出会い
「にしても…おい、そこのももんが」
「むきゅ…」
か弱そうに鳴くももんがを俺は無理矢理怪物の頭部の中から引きずり出して小さな鞄ポケットに押し込んだ。
「なーんで頭部の中になんかにももんが…」
と言っているといきなり銃で一発こめかみスレスレを撃たれた。
「マジで殺す気かよ…なんなら容赦はしない」
背中に背負っている大剣を取り出し、地面に尖った先端部分を刺した。
そしてざっと見、人間の敵は三人だ。
だいたい五分で片付くか。
俺は別人になったのかのように、今目の前にいる人間たちを敵と見なした。
「ネガティブなことばかりね…」
私は思わず呟いた。下ではカイトと複数の人間たちが戦いを始めていた。
ただただそれを自分は上から眺めていた。
「こんにちは」
「!?」
後ろから聞こえてきた知らない女の声に私は驚き、声のした方向へゆっくりと体を向けた。
そこには髪の毛がおよそ腰まで届いている金髪の白い兵士武装している女がたっていた。
「誰?」
「私は…この恐怖のカーニバルを上部から仕切るように任されているキルザと申します」
キルザは不敵な笑みを浮かべながら私の方に近づいてきた。
「残念ながらあなたには死んでいただきます」
そう言って取り出したのは死神が使うような鎌。
私は慌てずに冷静に冷機関銃を取り出してキルザに向けた。
「なるほど、私と戦うつもりですか」
「ええ」
「容赦はいたしません」
人間を殺すよりは、このキルザを殺すと言うほうが容易い。
冷機関銃のスイッチを入れ、キルザに当たるように素早く調整した。
ギルザはお構い無しにこちらに襲いかかってきた。
あの鋭く三日月のように尖った鎌で私を間違いなく殺しに。
「セット…」
「クス…間に合いますでしょうかね?」
間に合うよバカ神が。
思わず暴言に近い言葉で言ってしまったが、内心だ。別に良いか。
物凄い早さでキルザはこちらに走ってきて鎌を振り落としてきた、が私は素早くよけた。
そして避けたと同時に引金を引いた。
『ガダァッンッッ』
冷気が氷の塊の回りにまとってキルザの元に発射された。
よくわからないが、とりあえずこいつを連れてミクヤの元に行くか。
俺は殺した人間の鞄や武器を取って屋上に戻ることにした。
―‐
「そぉらっ!」
弾が切れてしまって剣で対抗するしかない。しにしてもこんな化け物、傷ついてもいたがる様子もない。
「どうしました?その程度で?」
明らかにバカにしている、私を…。
「黙ってなっ!」
ガッと鈍い音が響いた。
私はキルザの後ろを見た。そこには機関銃を肩に軽々しく乗せて勝ち誇った表情のカイトがいた。
「ミクヤ!大丈夫か?!」
私は力なく頷いた。もうさっきの敵との戦いで疲れてしまっていた。
カイトは鞄からあの怪物の頭部の中にいたももんがをつかみ出した。
「え…あ…あのももんが…?」
「ああ。どうやら人間からももんがにされたらしい」
一瞬呆然としてしまったがすぐに冷静になり、カイトに聞くことしにた。
「…誰に?」
「さっき君が戦っていた女がおいらをももんがにしやがったんだ」
なるほど…あいつならやりかねないわ…それに人間からももんがにするというのは人間がするのは不可能。
「そう。じゃあ貴方の名前は?」
「ジャダック・クランチェ」
ジャダック・クランチェ…か。ということはここの国の人じゃないな…。よくこんな島国みたいなところに…。
「そっちは?」
「ああ、私ね。私は駁ミクヤ。で貴方を助けたのは狩陀カイト」
かり
カイトは照れくさそうに頭をかいて小さく会釈した。
なんでカイトはこんなときだけ礼儀正しいんだろう…。
まあ余計なことかな?ちょっと心の中で笑ってしまった。