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ghost actor  作者: aqri
ghost actor 3 クランクイン
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2 黒猫と警察の癒着

「東風に媚びへつらってみっともねえ、甘い汁だけ吸ってる生活はさぞいいご身分だったろうよ」

「……」


 俺の前で晴海の話をするなよクソ野郎。


「自分の力じゃ何もできないクソガキがイキがってるんじゃねえ、反吐が出る。めんどくせえ年寄りどもがいなかったらとっくに逮捕状が出て今頃お前は檻ん中だバァカ。猿よりは賢いなら言葉に気をつけろよ」

「それってつまり、お前と違ってまともな人がいるから身動きが取れなくて、お前の権力は大した事ないってこと? クッソうける」


 再び机に頭を打ち付けられる。こういう時に反撃したら相手の思うツボなんだってわかってないらしい。


「俺を苛立たせるな、無駄な時間を取らせるな、聞かれたことだけに答えろ」

「違うだろ。俺が言って欲しい言葉だけを言え、の間違いだろ」

「あ?」


 今までの頭が悪そうな軽い感じの言動とは違う。ワントーン下がった俺の声にさすがに不審に思ったらしい。


「指一本でも触れたら公務執行妨害だって喚きそうだからこのままにしておいてやる。お前と仲良しな黒猫に言っとけ」


 黒猫、の単語に明らかに男がびくりと震えた。茶番に付き合ってやろうかと思ったが少し飽きてきた。それもこれも、こいつ自身が全くたいしたことない奴だからだ。

 もう少し張り合いのある相手だったらギリギリまで本気で焦った様子ですっとぼけようかと思ってたが。こいつじゃ埒があかない。つまらなすぎる。


「俺とおしゃべりがしたいんだったら、使い捨てのゴミ野郎を伝書鳩にしないで直接来い、ってな」

「ああ!?」

「流星か愛梨か知らないが、どうせ金と女に釣られたんだろ。アホすぎる」


 愛梨、で息をのんだのが分かった。完全に性欲の方か、金よりひどいな。相手はガキだから手玉に取っているつもりだったのか。ここは完全に愛梨に軍配があがってる。


「俺みたいなやつに知られている時点で、情報がツーツーだってことに気づけよ。マネロンなんてガキでも思いつく一般常識だ。国外の銀行ルート調べりゃ一発でわかる」

「な、なん!?」


 海外口座への入出金なんて大昔から使われるヤバい金の行き先ナンバーワンだろ、アホかコイツ。


「犯罪者が警察かばったりすると思うか、最初から使い捨てで利用されているに決まってるだろ。自分は警察だからどうにでもなるって? どうせお前がつかんでいる黒猫の情報なんて用意された偽情報だ。あと」


 俺の殺気立った声に本気でびびったらしく相手の呼吸が荒くなってくる。どうやら俺の言葉に心当たりがあったようだ。自分が利用されていることぐらいには気づいていて、なんとかするために動いていたってところかな。

 何せ金の動きには必ず記録がつく、紙だろうが電子だろうがそれは同じだ。国際社会の協力をあおげば犯罪の捜査には情報提供の義務がある。自分の管轄では動けない場所に動かれたら身動きが取れないのは確かだ。


 黒猫とのやりとりはこいつ個人の話なのかもしれないが。そこはよくも悪くも警察という組織にいる以上、自分でどうにもできない事は絶対にどうにもできないのだ。どうにかしようとしたら、どこかで必ず痛みとして返ってくる。警察の場合はそれがレベチで痛みがひどい。特にエリートの場合は地獄を味わう。


「そろそろ手を離しておかないとさっきのおっちゃんが戻ってくるぞ。なんちゃってエリート君」


 俺の言葉にもう一度俺を机に叩きつけてからようやく離れた。こめかみを打ち着つけないあたりやり方が甘い。額を打ったらうっすら赤く跡が残るに決まってるのに。あとなにげにこめかみの方が打った時痛いんだよな。神経が集中してるから。こいつ拷問したことないのか。

 そのタイミングで再び扉が開いた。戻ってきたのだ、さっきの人が。


「蕎麦いくらですか?」

「いや。……額が少し赤いか?」

「あはは。言葉遣いを注意されたから、どうもすみませんでしたって言って頭下げたら机にぶつけました」

「ふうん?」


 あ、何が起きたのか気がついたなこの人。こいつ相当嫌われてるみたいだ。なんで組織内で敵を作るかな。味方は作らなくてもいいが、敵は減らしておくべきだろうに。


「今更ですけどとろろ蕎麦がいいです」

「必要なくなった。岸辺警部」


 やっぱりこいつ警部か。エリートだから警部補くらいかと思ったけど、相当優秀な人みたいだ。そのうちの二、三割は表沙汰にできない事情でのし上がったんだろうけど。それにしても、わざわざ役職呼びするのは少し違和感がある。普通さん付けだけどな。俺に教えるためにわざと呼んでくれたのか?


「証拠不十分で取り調べを中止だそうですよ」

「はあ!? そんなわけないだろ、ここまで証拠が集まったから取り調べに入ったんだぞ!」

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