第八話 自然治癒
皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
「異常がない?本当なのおじさん?」
「ああ、俺の分析眼が間違えたことはない、間違いなくシェイドの身体、そして精神にも何の異常もない。」
異常がない、それはこの状況下では間違いなく最も絶望的な一言だった。
「そっ…それなら師匠、一体どうすれば?」
「エリミオレ、帰り道は覚えてるな。一旦戻って村中の人たちに知らせてくれ。この状況は非常に不味い、俺達だけでは対処不可能だ。」
「わかりました!」
そう言い大急ぎで駆け出そうとした瞬間、シェイドが口を開いた。
「待って…ください。しばらく…座り込んで…いたらそれなりに…良くな…りました。」
「いや、でも・・・」
「お願い…します。ぼくの…側にいてください。エルさんとあなたが…いてくれないと何か…恐ろしいことが起こりそうで…」
確かによく見ると、顔色がさっきよりも僅かに良くなってきていた。
「うん、わかった。そばにいるよ。」
「あー、本人がそう言うなら仕方が無いしばらく様子見とするか。」
「安心して、シェイド君。私も良くなるまでそばにいるから。」
「こんな…ぼくのわがままを聞いてくれてありがとうございます。」
その後、45分ほどシェイドの側にいた。その間シェイドの顔色は次第に良くなってゆき、最後には完全に良くなっていた。
「皆さんのお陰で大分良くなりました。ありがとうございます。」
「僕たちの仲…いや、この村の仲だ。お礼なんて良いよ。ね、エル」
「お兄ちゃんの言う通りよ。お礼はいらないわよ。」
そのように和気あいあいとした時間をしばらく過ごしていると
「いや~、無事治って良かったな。本当に良かった。ところでシェイド、念の為確認するが…ドアの開かなかった蔵ってのはお前の横にあるやつで合ってるな?」
「はい、これで合ってます。」
「よし、それなら。」
そう言うと師匠は蔵の扉に近づいていき・・・
「んっ、これは!凄い施錠魔法だ。間違いなく何千年も前にかけられたものだ。」
「そんな凄いものがかかってたんですか?師匠?」
何千年も前の蔵ということはもしかしたら古代の遺物か何かが眠っているのでは?そう思うと、少しわくわくしてきた。
「ただ、長時間たったことで弱っている。これなら俺でも開けられる。よ~し」
掛け声とともに師匠が魔力を手に集め始める。
「魔力よこの束縛を解き放ち給え、解除!」
そして師匠がとに手を据え力を込めると蔵の扉が開いた。
「よし!エリミオレ、授業の一環だ中の探索を手伝ってくれ。」
「えっ、あの…ちょっと?」
言うが早いか、師匠は僕の手を掴み蔵の中へと僕を引き連れ突撃した。
「エルさん、ぼくたちはどうしましょう?」
「決まってるでしょう!ついていくのよ。」
「あの、ちょっと待って下さい…あの」
そして、後から知ったことだが、シェイドもまたエルに腕を掴まれ引き込まれたらしい。
巻き込まれる少年2人、巻き込む男性1人と少女1人