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悲哀の勇者物語(休止中)  作者: 輝川望智
第一章 故郷と修行の回歴編
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第五話 目覚めと魔法の勉強

約1ヶ月ぶりに投稿できました。

「ユーシャ? ユーシャって何?」

 聞いた瞬間だった。突然辺りが真っ白に染まり消え始めた。


「なっ、何?」

 ―――――――――――――――――――

 そして目が覚めた。


 随分と懐かしい夢だった。あのときに初めて勇者という存在を知り同時に憧れたのだ。


「今日もあなたのようになれるように頑張ります。スレクさん」

 と、独り言を言いながらベッドから起き上がる、二人の寝息は聞こえないのでおそらく先に起きたのだろう。そして、ベッドから起き上がり梯子に足をかけたその時。


「お兄ちゃん!!!おはよう!!!」

 突然ドアの方からバン!!という大きな音が聞こえた瞬間、耳をつんざく程大きな妹、エルの声がその口から放たれたのだ。


「わっ!わわわわわ!?、、いた!」

 その声に驚いた僕は、はしごから手を離してしまい頭から床に落ちてしまった。中々の痛みが頭から全身を駆け巡る。


「あっ、お兄ちゃんごめんそんなつもりじゃ!」

 妹が青ざめながら駆け寄ってきた。


「おいおい、随分デカい音がしたが…おい、エル青ざめた顔してどうした大丈夫か?」

 入り口の方から少しぶっきらぼうな男の声が聞こえてきた。


「大丈夫じゃないわよ。このままじゃ私のせいでお兄ちゃんが!」

「なるほど、寝起きドッキリ仕掛けたら驚き過ぎて梯子踏み外して真っ逆さまってところか。なぁにエル、安心しろ人間意外と死なねぇもんだ。」

 その声の主は、エルと会話を交わしていた。そしてその主は僕の魔法と知識の師匠をしてくれている父方の叔父のシュラウドさんだった。


「うう、いたた。」

「そら、もう起き上がった。」

「少しは心配してくださいよ、それにいつ帰って来たんですか?」

「まあまあ、死ななかったんだからいいじゃねぇか。それと、昨日と今日の変わり目のあたりだ。」

 この人の特徴として、基本的に楽観主義者なのだ。それ即ち余程のことでない限り慌てることなどないのだ。


「お兄ちゃん、死ななくてよかった。それでね、お母さんがね朝ごはn」

「よし、こいつも起きたことだし、朝の授業と行くか。」

「あのっ、師匠。僕まだ朝ごはん食べてないんですけど…」

「寝坊するやつが悪い、それに俺も食ってない行くぞ。」

「分かりました。やりますよ!やればいいんでしょう。」

「あの、お母さんが、えぇ。」

 そうして僕と師匠は、師匠の勢いに珍しく困惑している妹を置いて外に出ていった。


 ――――――――――――――――――――

 今日の授業の場所は前回と同じ家の庭だった。しかし見かけない的が幾つかあった。


「よし、それじゃあ1ヶ月前に教えたことの復習だ。空気中の魔力を集めてみろ。」

 師匠の言葉を受けて、手の平を前に突き出して空気に混じる魔力を手に集めるために集中し、念じる。すると、次第に手の平が温かくなり始める。


「その調子だ。もう数分間集めろ。」

「はい、分かりました。」


 数分後…


「もういいだろう。このまま新しいことをやるぞ。フレイムの詠唱文と魔法陣の構築式は分かるな。あの的に向けて撃ってみろ。」

 そう言って家から師匠は家から最も遠い位置にある的を指差した。


「分かります。我らが力たる魔力よ、今ここにその姿を小さき火球へと変え…」

 全身全霊で集中し、手に集めた魔力の形状を変え、魔法陣を構築しつつ魔力が魔法陣として機能するのを補助する詠唱文を唱えてゆく。

「敵を燃やせ、<火炎(フレイム)>」

 詠唱文が唱え終え、魔法陣が完成しそこから小さな火球が放たれる。その火球は真っ直ぐ的へと飛びその中心に小さな焦げ目をつけた。


「やった!できました師匠!」

「エリミオレ、やるじゃねぇか。流石は俺の弟子にして甥だ!」

「ちょっ!やめてくださいよ師匠!」

 物凄く上機嫌になった師匠が僕の頭をワシャワシャと力強く撫でてきた。突然のことに驚き、振り払おうとしたけれど、師匠の力が強すぎて振り払えない。


「ただ、これはまだほんの序の口だ。世界には詠唱なんてせずに魔法を唱えられるやつもいる。」

「あの、いつまで撫で―――――」

 上機嫌な師匠はどうやら僕の言葉が聞こえていないらしく撫でながら喋り続ける。

「これは師匠バカかもしれないが、きっとお前なら俺でもまだ辿り着けていないその領域に辿り着けるだろう。」

「頭皮が摩擦で熱くなり始めたんですが。」

「つまり、エリミオレ!この調子で努力を続ければお前は必ず勇者になれる、努力が人を裏切ることなんてないんだ。」

「すいません、そろそろ発火しそうなんですが!?」

 その内容は良い話、確かに良い話だけれど・・・どうしても撫で撫での方に意識が行ってしまう。

「お前がたったの4ヶ月で魔法が使えるようになったのだってそうだ、お前がサボったりせず魔力を操作する練習を続けていたからだ。分かったか?」

「はい、分かりました。」

 髪が発火しそうで恐ろしかったけれど、本当に発火しなくて良かった。それに、(努力は人を裏切らない。)この言葉でますますやる気が出た。剣術だけでなく魔法も極めてやろうあの日のネロさんのように。


「よし、エリミオレ魔法を使うという今日の授業目標は達成したし、食べ損ねた朝食にするぞ。」

「いいですね、そうしましょう。」

 そうして僕と師匠は朝食を食べるために家の中へと入って行くのだった。


この世界の魔法は難易度がめちゃくちゃ高いです。

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