第四話 眠りとあの日の夢 Ⅰ
死ぬほど時間がかかりましたが第四話投稿できました。
カルレトを食べ終えた僕は入浴などを終えて眠ることにした。
「今日はもう寝るよ、おやすみ」
「「「「おやすみ」」」」
談笑をしている家族の声を聞きつつ子供部屋の三段ベッド(父さん作)の中段に横になった、そして目を閉じ、眠りに落ちていった。
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僕は僕の家への帰り道を歩いている。見慣れた、ほとんど毎日歩いている道を。どんどん歩いて、そして左右の分かれ道に辿りついた。僕の家は右の道の先にあった、しかし僕はまるで誘われるように左の道へと歩いていった。その左の道には看板が置いてあったけど幼くて小さい僕には何て書いてあるのか分からなかった。
しばらく歩いていると周りの草むらが揺れたような気がした。
はっ、として周りを見回してみても何も無かった。そして、さらに歩いていると、今度は音とともに草むらが不自然に揺れた。揺れた草むらを見つめていると、突然!「何か」が飛び出して来た。
「!!!!!!」
驚きのあまり声にならない悲鳴あげながら僕は逃げ出した。すると「何か」も追いかけて来た!とにかく振り返らず走って走って走り続けた。しかしパニックになり我武者羅に走ったせいで行き止まりの岩壁に追い詰められてしまった。
「ひっ!こっ、来ないで、来ないで!!」
振り返ると分かった。追いかけて来ていた「何か」は、人を食べるトカゲ型の魔物、プレドリザードだったことが!さらに僕の匂いに引き寄せられたのか一匹だけでなく何匹もいるということに。そして、プレドリザードの群れが全員獲物を見る目で少しずつ確実に追い詰めるように近づいてきた。
「この! この! 来ないで!!!」
大声で叫びながら近くにあった石を投げてぶつけた。しかし、僕の力ではどれだけぶつけてもたかがしれていた。ぶつけてもぶつけても全く怯みもせずに近づいてくる。
「誰か!助けて!!」
助けを呼んでも周りには誰も居らず助けが来るはずなんてなかった。すぐ近くに来た群れのリーダーみたいな一番大きいプレドリザードが口を大きく開けて僕を食べようとした。
「助けて!!お願い」
しかし助けは来なかった。僕はもう諦めて目を閉じ、頭を抑えて震えていた。
(もっと生きたかったな)
そう思い涙を流し、プレドリザードが動けない僕に噛みつく…その時だった。
「危ねぇ!ギリ間に合った!」
「え!!」
ザシュという音がして目を開けると目の前のプレドリザードの首が落ちていて、周りのプレドリザード達が驚いたように口をパクパクさせながら硬直していた。そして僕を守るように誰かが僕の前に立っていた。それは短くて雪みたいに綺麗な白い髪のお兄さんだった。そして、手には赤い液体の付いた白いとても綺麗な剣を持っていた。
「おい、お前怪我はないか?」
「えっ、うん大丈夫だよ。」
「そうか、良かった。」
そのお兄さんが振り向いて僕の方を見て、聞いてきた。怖かったけど、怪我は無かったから大丈夫だと答えた。そしたらそのお兄さんは安心したように微笑んだ。
(こんな感じで聞いてきたってことはこのお兄さんが助けてくれたんだ。)
そう思い僕は安心した。がっしかしその瞬間プレドリザードが出てきた時とは全く違う感じで草むら揺れ、そして一番草むらに近いところにいたプレドリザードを吹き飛ばしながら何かが出てきた。
「やっと追いついた!」
「ひっ!」
「…やっと来たか」
別の怖い魔物が来たのかと思って一瞬怯んじゃったけど、よく見ると出てきたのは怖い魔物じゃなくて黄色い髪の身軽そうなお姉さんだった。
「ちょっと!スレク!急に走り出さないでよ!置いてかれた方は死ぬほどびっくりするんだから!てっ!なんでこんなにプレドリザードが居るのよ!」
「おい、安心しろあいつは俺の仲間だ。ちょっと乱暴だか、子供は殴らない。」
「うん」
「話を聞きなさいよ!話を!てっ、誰が乱暴者よ!」
「落ち着けって、そんなことよりもこのプレドリザードの群れをさっさと片付けるぞ。喧嘩はその後だ。」
「全くしょうがないわね。そうと決まったらちゃちゃっと片付けるわよ。」
既のところで僕を助けてくれたお兄さんはスレクっていう名前らしい。
そして話を終えた二人がプレドリザードの群れに向かって駆け出した瞬間、突然空から大量の美しい氷の槍がプレドリザードの群れに向かって降って来て十匹ぐらい串刺しになった。
「氷槍の雨、これで、ざっと十匹と言ったところか。精度が低いのがこの魔法の欠点だったがだいぶ上がってきたようだ。」
また驚いていると空からゆっくりと杖を持った茶色い髪のお兄さんがなんだか難しいことを言いながら降りてきた。
「ネロ、いいところに来た話は後だこいつらを片付けるぞ。」
「その子供を助けるんだな、よし任しとけ。」
「改めて、行くわよ二人とも。」
そしてそこからは本当にすごかった。
ネロという名前のお兄さんが杖をプレドリザードに向けて言った。
「火炎」
詠唱は無かった、しかし詠唱が無かったのに杖の先端から炎が放たれプレドリザードを数匹巻き込んで燃やした。
名前の分からない黄色い髪のお姉さんが威嚇しながら飛びかかってくるプレドリザードを次々と殴り飛ばしていく。
そしてスレクお兄さんが見惚れそうなほど綺麗な剣戟でプレドリザードを次々と斬り裂いた。
そうしてあっと言う間に僕を食べようとしたプレドリザードの群れは全員倒された。
「安心しろ、もう全員倒したから大丈夫だ。」
「ありがとう、お兄さん達本当に強くてかっこよかったけど、お兄さん達は何者なの?」
「あー俺達はまあ所謂勇者とその仲間たちだ。」
「ユーシャ? ユーシャって何?」
これが僕と勇者スレクのパーティーとの出会いだった。
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