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第4話 神さまの汚部屋へご招待

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 願いが千あったとして、叶うのは、叶えるのは数件程度――神さまを自称する神宮紡はそう言った。


 しかし、祠に供えられる嘆願書には全て目を通しているという。


 つまり願いを叶えるか否かは、神さまの気分ではなく、そこには、厳格で、明確な条件が存在する、らしい。


 条件は四つ決まっているという。


 一つ目は、嘆願者の心身の健康状態から、努力をしても、永久に叶わないものを叶える。


 二つ目は、命を復活、または延長の願いは叶えない。


 三つ目は、願いは一人一つまでしか叶えない。


 淡々と述べた後、条件の四つ目である『神さま自身の願いは叶えない』を付け足すように呟いた。


 中二病にしても、やけに設定が凝っていると思ったが、所詮は妄言であり、虚言だ。


 ポニーテールが似合いすぎる小娘の言うことでも信じられるわけがない。


「よーし、到着!」


「ふう......やっとか......」


「男の子なんだから、これしきでへばらない」


「男女差別はやめろ」


「その四文字熟語、最近は男性側も用いるんだね」


「倫理観が重視される時代だからな」


「格好悪い」


「うるさい」


 神宮と出会った翌日、俺は神宮に連れられ、奇妙で、奇怪で、不気味――その三拍子で有名な守山(もりやま)を訪れていた。


 いやはや、守山には来たくなかった。


 なんと言っても、立ち入りたくない山ランキングで、映えある第一位に君臨し続けている山なのだ......あくまで俺調べだが。


 そんな畏怖の対象である守山だが、その深部の実情は、想像と大きく異なるものだった。


 ストップ環境汚染と叫びたくなるほど、山奥にはガラクタが積み上がっていたのだ。


「随分と奥に踏み入れたが......まさかこんなガラクタを見せたかったのか?」


「ちょっと! 失礼ね、これでもレディのお部屋よ?」


「これが......部屋?」


「デリカシーのない人はモテないよ?」


「黙ってろ。俺はお前が『神さまであること』を証明できるか見に来たんだ。ガールズトークをしに来たわけじゃない」


「モテない要素がこの鉄の塊と同じように積み上がっていく」


 何故こんなやつに、俺の尊厳を傷付けられなくてはならないんだ。


 それに、神宮だって十二分にノンデリカシーだろう。


「ひょいー、ひょいー、ひょいっと」


 神宮は、俺のメンタルケアをするはずもなく、身勝手にガラクタを駆け上がって遊び始めた。


「危険な遊びは一人でやってくれ」


「遊び? 違うよ、本当にお部屋なんだって」


「汚い部屋と書いて、汚部屋の間違いじゃないか?」


「いいから。戸出くんも早く来て」


 全く......アスレチックは小さい頃から苦手なんだ。

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