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念願?の友情イベント発生2



でも、確かにここ最近の私はいかようにして帰るかしか考えてなかった。だって、当初は楽勝だと思ってたものがくつがえされたんだもん。突然本当に知らない世界に飛び込んだかのように動いたんだもん。登場人物は同じなはずなのに、知らない物語が展開されてるんだもん。


焦るじゃん!!


と、彼に言ったらどうなるんだろう。頭イカれた奴だと思われるんだろうか。それは嫌だなあ。


「すーいれーん。お話しよーよー」

「お前なんてしらん」

「飛び出してきちゃったよーあとで一緒に怒られに行こーね」

「………」



拗ねた子供の、機嫌の取り方を検索したい。

今手元にスマホがある時代なら、絶対してる。だって全然こっち向いてくれないんだもん。


もしかして、

「睡蓮、泣いてる?」


膝に埋まった顔は見えないけど、どこか鼻声で時折ひっくひっくとしゃくり泣く声が聞こえる。何で泣いてるのよ。いや、うん、わかる。


「私、帰りたいなんて思ってないよ。ごめん、記憶も戻ってない。思い出せない」


私の言葉に彼はちらっと顔を上げた。あーほら、目真っ赤。元々だけど。あんまり泣くと明日腫れるぞー?大変だぞー?


「ほんと?」

「ほんとほんと」


だから、


「ここを離れるつもりは無いよ。てか出れないし。吉原舐めんな?永久就職の恐ろしさ分かってないのかこら」

「?」


ゴシゴシと袖で涙を拭ってやる。

あーあそんな泣きじゃくって。


「でもそうやって泣いてくれるんだね」


全然関わりないなって思ってたけど、ごく普通に過ぎていく毎日の中で、あなたの生活の一部になってるのね。ごめんごめん。軽率だった。あれ読んだら確かにそう思うよね。ちがうのよ、あの故郷は現代ってことで………って。まあ帰るってのは、変わらないのか。



サヨナラは、必ず来るけど

今はまだ言わなくてもいいよね




「前から思ってたけど」

「うん?」

「お前私って言うのやめろよ。女みたいだぞ」

「…………」

「な、なんだよ!俺変なこと言ったか!?」

「しらん」

「お、おい!こっち向けよ!」


うるさい。私は私!俺とか僕とかじゃダメなの!最低限の女の意地なの!言えないけど!

ふん!拗ねてやる!同じ格好してやる!へ!どうせお前も子供の機嫌の治し方なんて知らないだろう!せいぜいあたふたしなさい!


「ふふふ」

「な!笑ってんじゃねえか!」

「アハハハハ」

「笑うなー!」


だめだ。子供相手に拗ねるって何よ私。てか何であんたはそんなに必死なのよ笑いがとまらん。



「なーんだ、いつの間にか爆笑してるんだけど」

「仲良し、よかった。いつもどおりだね」


頃合を伺ってたのかいいタイミングで影から出てきた白蘭と雛菊。君たち、ちょっと年上だからっていい気になるなよ!


ちょいちょい。手招き。

なーにー?と素直によってくる雛菊。

笑いつつ距離をとりながら警戒する白蘭。



ふふふふ。


「ほれ!こちょこちょー!!」

「うわっ!アッハハハ!やめてよ暁月ー!アッハハハ」


ふふふふふふふ!

子供といえばこれでしょ!じゃれ合いと言えばこれでしょ!


「ちょ、近づかないで暁月」

「だめです、盗み見してた人達は、お仕置です!ほーれこちょこちょー!」

「きゃあ!いや、あっ!」


白蘭の腰に手を伸ばしこちょこちょー!攻撃をしただけなの。


だけなのよ。


「やめっ…やぁ…あっ」

「「「…………」」」


私、睡蓮、雛菊。

3人ゆっくり顔を見合わせる。そして何かしら以心伝心した。こくりと大きくうなずいて。


「や、やめろっ!」

「おらおら白蘭!!いつもの仕返しだァ!」

「ふふふ!白、観念して」

「白蘭!逃がさないよ!!」



ふだんいじられる仕返し合戦だ!!


白蘭はこちょこちょに弱い!!心のノートに追加した。

しっかり線引いて蛍光ペンで目立たせてなんなら傍に注目シール貼っておくわ!!


そして、なんか、エロい!こちょこちょでエロい!!


「やあっ…やめろっ…おい、ひ…雛まで…っ」


アッハハハハハ!!!


その日、やけに元気なちびっ子たちの笑い声が店中に響き渡り、そして切れた白蘭による遊男たちを巻き込んだ地獄の追いかけっこが延々と続いた。



仲良く、戻れたのかな?

でも、子供だしさ。



またこうやってはしゃげれば、仲直りってことでいいよね?



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