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ポンド  作者: 新庄知慧
81/88

81 だんだんわかってくる・・・

「しかしね、死刑というのが、これが難しいんだなあ」と課長は言った。「どうするか、死刑なんて、どうやるのか」


人参が学者みたいな言い方で言う。


 「や、やはり、その阿村さんがわざわざ持ってきたバケツに入って、池に沈むんではないでしょうか。重しなら、その辺から石を拾ってきましょう」


 課長は困った顔で言った。


「いや、そういうことではなくて。死刑と言ってるのは、極刑という意味でね。永遠に終わりにしなければならないということなんだ。


それは死ぬってことでいいのかな。死んでどうなる。それが極刑か。そこのそれ、妖怪さんたちみたいに、また出てきたら困るし。


森下君、どうだろう」


闇の中から、枯尾花の森下婆の声がした。


「うちはこの人の弁護人どす」


「何?!」課長は声を上げた。


「これは驚いた」蟇蛙が言った。


「うちは難しいことは分からしまへん。そやけど、この人はかわいそうな人ですよ。いい人ですよ」


「い、いい人はいっぱいいますよ。世の中の人は、みんないい人ですよ」


人参が言う。


「どうしてこの阿村君がいい人なのかな」


蟇蛙がきいた。


「その子に、色んなこと教えてくれはった」


闇の中から、森下婆のシルエットが進み出てくる。月明かりが彼女の顔を、次第に浮かびあがらせる。


彼は息をのんだ。


その森下の顔は、あの森下ではない。20年か、200年も若返ったような顔である。


そしてその顔は、驚くほど美しい。どこかで見た顔。


「あなたは…?」彼は声をあげた。


「うちの子のこと、どうもありがとうございました」


その絶世の美女は、彼に頭を下げた。


「いえ、そんな。これは、あそこの、あの方が私のお相手にと引き合わせてくれた方なんです。あそこの、あの…」


彼は妖怪たちの方を指さし、そちらを見た。小舟の上では、金色銀色目の女も彼に頭を下げた。


「この子は一体、誰だったんでしょう」


「うちの子。この世に生まれることができずに、行止まりになってしまった可哀そうな子です」


彼のもとに近寄り、子女を抱き上げて彼女は言った。


水子みずこ?」


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